2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨・ミネラル代謝、およびその破綻による疾患における線維芽細胞増殖因子23の関与
Project/Area Number |
18390274
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福本 誠二 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30202287)
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Keywords | FGF23 / 腫瘍状石灰化症 / 腫瘍性骨軟化症 |
Research Abstract |
線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor : FGF)23は、いくつかの低リン血症性疾患の発症に重要な役割を果たす因子として同定された。FGF23は、腎近位尿細管におけるリン再吸収を抑制すると共に、血中1,25-水酸化ビタミンD濃度を低下させ、腸管リン吸収を低下させることにより、低リン血症を惹起する。実際腫瘍性骨軟化症などの低リン血症性疾患では、血中FGF23が高値を示し、過剰なFGF23活性により低リン血症が惹起されることが明らかにされていた。一方腎尿細管リン再吸収亢進による高リン血症を特徴とする疾患が、家族性高リン血症性腫瘍状石灰化症である。我々は、腫瘍状石灰化症の原因の一つとしてFGF23遺伝子異常が存在すること、FGF23蛋白が不活性なフラグメントへ分解されることによるFGF23活性障害が、この腫瘍状石灰化症の原因であることを明らかにした。一方腫瘍状石灰化症の原因としては、FGF23遺伝子異常に加え、蛋白の糖化に関与するGALNT73遺伝子異常が報告されていた。そこでFGF23蛋白とGALNT3蛋白の関連を検討し、GALNT3作用によるFGF23蛋白の糖化により、FGF23蛋白の分解が抑制されることを明らかにした。従って過剰なFGF23作用とは逆に、FGF23作用不全により、高リン血症を特徴とする疾患が惹起されることが明らかとなった。このことは、FGF23ノックアウトマウスが高リン血症を示すことと合わせ、FGF23が生理的なリン調節因子であることを示している。一方高リン血症を示すことが明らかにされていた動物モデルに、Klothoマウスがある。本マウスは、従来老化モデルマウスと考えられていたが、FGF23ノックアウトマウスと非常に類似した表現型を示す。そこでKlothoとFGF23との関連を検討し、KlothoがFGF受容体と結合することにより、FGF23特異的な受容体を形成することが明らかとなった。この成績は、FGF23作用の腎臓特異性を説明するものであると共に、FGFファミリーメンバーの新たな作用様式を示すものである。
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Research Products
(3 results)