2007 Fiscal Year Annual Research Report
個体の寿命に影響する成長ホルモン-IGF-I系の役割とその機序の解明
Project/Area Number |
18390276
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
千原 和夫 Kobe University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00107955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 裕 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (70301281)
置村 康彦 神戸大学, 医学部, 准教授 (30204100)
飯田 啓二 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80324911)
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Keywords | 成長ホルモン / IGF-I / 寿命 / 老化 / 酸化ストレス / 非アルコール性脂肪性肝炎 |
Research Abstract |
高齢化社会において健康寿命の延長は喫緊かつ最重要の問題である。線虫からほ乳類においてはインスリン、IGF-I系が本質的な寿命の調節因子であることが示されている。IGF-Iを調節している最も重要な因子は成長ホルモン(GH)で、私たちはこのGH-IGF-I系がどのように寿命と係わっているかをヒト、動物、細胞、分子レベルで解析を行った。GH-IGF-I系過剰状態の重要なヒトのモデルはGH産生腺腫によって引き起こされる先端巨大症である。このIGF-I過剰状態がなぜ悪性腫瘍、動脈硬化を引き起こし短命を招くのかを、細胞モデルを用いて検討したところ、興味深いことに過剰なIGF-Iは脂肪細胞、筋細胞において酸化ストレスを引き起こすことを見いだした。現在さらに動物モデルにおける酸化ストレスの状態について解析を行っている。酸化ストレスは老化の促進において重要な役割を果たしていることから、先端巨大症の病態およびIGF-Iの老化との関わりを理解する上で興味深い結果だと考えられた。一方、成人GH分泌不全症(AGHD)においては、内臓肥満に基づくメタボリックシンドローム(MS)様の病態からヒトにおいては短命になっている可能性が示唆されている。私たちはAGHDにおいてMSによく見られる非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が合併し、GH治療によって劇的に改善することを報告した。GH治療は肝機能、組織を改善するばかりではなく、炎症、酸化ストレスも大きく改善した。このことはAGHDの病態を考える上で重要な機序のひとつだと考えられた。さらにGHにはIGF-Iとは異なった独立した作用でインスリン抵抗性、酸化ストレスに係わっていることを明らかにした。このGHの独立した作用はヒトにおける寿命、老化とGH-IGF-I系の関係を考える上で、重要な鍵のひとつになる可能性が考えられた。
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[Book] 今日の診断基準2007
Author(s)
千原和夫
Total Pages
979
Publisher
(株)南江堂
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より
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