2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規Bcr-Abl/Lyn同時阻害剤による難治性白血病治療法の開発
Project/Area Number |
18390283
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前川 平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80229286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 晋也 京都大学, 医学研究科, 助手 (80359794)
芦原 英司 京都大学, 医学研究科, 助手 (70275197)
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Keywords | Bcr-Abl / Lyn / NS-187 / 慢性骨髄性白血病 / イマチニブ耐性 / フィラデルフィア染色体 / 分子標的療法 / INNO-406 |
Research Abstract |
われわれは、点突然変異を有するイマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病(CML)にも奏効する純国産のBcr-Abl/Lyn同時阻害剤の臨床開発を目指して研究を行い、平成18年度には下記の成果をあげた。 1)われわれはイマチニブ(IM)とAblの複合体結晶X線解析結果から、バイオインフォマテイクスを駆使して疎水性ポケットに化学的に構造展開の可能性を見出し多くの化合物を合成した。フルオロメチル基を導入した分子が、この疎水性ポケットにフィットし、分子とAblのATP結合領域の結合親和性が高まることを見出した。 2)上記のフルオロメチル基を導入した分子を多数合成し、化合物のキナーゼ阻害作用および安全性を指標に、Abl親和性がIMより25-55倍高く、Src familyの一つでありIM耐性に関与するLynを高い特異性を保ちながらBcr-Ablとともに阻害するBcr-Abl/Lyn同時阻害剤NS-187をスクリーニングの結果同定した。 3)13種類の変異Bcr-Ab1を発現するBaF3細胞および患者細胞の増殖に対するNS-187のin vivo効果を検討した結果、T3151の突然変異には無効であるものの、その他の変異Bcr-Ablを有する白血病細胞の増殖を低濃度で抑制することを明らかにした。 4)上記の白血病細胞の増殖抑制効果機序はアポトーシスの誘導であることを明らかにした。さらに、アポトーシス誘導以外のメカニズムについても検討した。 5)IMが無効な中枢神経性白血病に対するNS-187の効果、さらに血液脳関門に関与するP糖蛋白(P-gp)に対する阻害剤併用時の効果を検討した。その結果、NS-187はP-gpの基質となり、細胞外に排出されるが、中枢神経内に残存する濃度で有意に中枢神経に浸潤した白血病細胞の増殖を抑制することを、あらたに開発した中枢神経系白血病マウスをもちいて証明した。
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Research Products
(14 results)