2006 Fiscal Year Annual Research Report
小麦アレルゲンエピトープを消化する麹由来プロテアーゼの同定とその応用
Project/Area Number |
18390291
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
森田 栄伸 島根大学, 医学部, 教授 (90182237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古村 南夫 島根大学, 医学部, 助教授 (10315070)
高橋 仁 島根大学, 医学部, 助手 (10432618)
河野 邦江 島根大学, 医学部, 助手 (20432619)
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Keywords | 小麦アレルゲン / エピトープ / 麹由来プロテアーゼ / グリアジン / 低アレルゲン化 |
Research Abstract |
食物依存性運動誘発アナフィラキシーは食物アレルギーの重篤な特殊病型である。小麦が全体の原因食品の約6割をしめ,本邦での臨床的特徴となっている。我々は,小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーと確定診断された15例の患者について,小麦精製蛋白質と血清を用いた免疫ブロットを行い,患者の約80%がω-5gliadinに,残りの約20%が高分子量gluteninに最も強く反応することを見出した。さらに患者血清とペプチドアレイを用いてIgE結合エピトープを解析した結果,ω-5gliadinのIgE結合エピトープはQXXPQQQ,高分子量gluteninのIgE結合エピトープはQQPGQXQおよびQXSGQXQであることを明らかにした。また,ω-5 gladinのDNAクローニングを行い,大腸菌による発現システムでリコンビナント蛋白質を調製した。さらに,本リコンビナント蛋白質を用いて小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーの診断キットを作製したところ,従来法に比べて感度および特異度が飛躍的に向上していることが明らかとなった。現在本診断キットはPhadia社より欧米にて発売されている。 一方,食の安全に対する意識が高まる今日,アレルギー発症の予防に,または患者が摂取可能な食品の作製のために低アレルゲン化食品への関心も高まってきている。 本研究では低アレルゲン化小麦製品を開発する目的で,エピトープを特異的に消化する酵素を探索した結果,麹菌培養液にQXXPQQQ配列を消化する酵素活性があることを見出した。また本酵素の生理学的性質を調査した結果,至適pHが7.6-8.8,熱安定性40℃(1hr),数種の阻害剤を用いた酵素活性部位阻害検討によりメタルプロテアーゼかセリンプロテアーゼに属する酵素だという事が明らかとなった。
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