2007 Fiscal Year Annual Research Report
小麦アレルゲンエピトープを消化する麹由来プロテアーゼの同定とその応用
Project/Area Number |
18390291
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
森田 栄伸 Shimane University, 医学部, 教授 (90182237)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古村 南夫 島根大学, 医学部, 准教授 (10315070)
高橋 仁 島根大学, 医学部, 助教 (10432618)
河野 邦江 島根大学, 医学部, 助教 (20432619)
|
Keywords | 小麦アレルゲン / エピトープ / 麹由来プロテアーゼ / グリアジン / 低アレルゲン化 |
Research Abstract |
本研究は、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis: WDEIA)患者が安全に摂取できる低アレルゲン化小麦製品を開発することを目的とした。これまで我々は、WDEIA患者血清を用いた小麦抗原の解析から、小麦グルテンの構成タンパク質中のω-5グリアジンが主要な抗原であることを明らかにした。さらに麹抽出液中にω-5グリアジンを消化する酵素活性を見出している。そこで、小麦ω-5グリアジンを分解するプロテアーゼを麹より精製し、その生化学的特徴、及び、ω-5グリアジンの分解活性について検討した。 麹粗抽出液より、3種類の精製ステップを経て、ω-5グリアジンのIgE結合エピトープペプチドを分解するタンパク質を部分精製した。部分精製したプロテアーゼは、アルカリセリンプロテアーゼに特徴的な生化学的性質を有していた。部分精製したタンパク質のうち、35kDaのタンパク質のN末端アミノ酸配列はEETTEKNAPXGL(Xは同定できなかったアミノ酸)であった。このアミノ酸配列はゲノム配列が明らかなAspergillus oryzae RIB40のOpen Reading Flame 000517(Subtilisin様セリンプロテアーゼファミリー)のN末端領域12アミノ酸とほぼ一致した。 また、部分精製したプロテアーゼを用いて、小麦構成タンパク質の分解活性を検討したところ、WDEIAの主要な原因抗原であるω-5グリアジンを分解する事が明らかとなった。 以上の結果より、部分精製したプロテアーゼの1つは分子量35kDaのSubtilisin様セリンプロテアーゼであり、このプロテアーゼを用いて小麦ω-5グリアジンを分解することにより、低アレルゲン化した小麦製品を開発できる可能性が示された。
|