2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染症の診断法の開発、分子疫学、病態とリスク評価の研究
Project/Area Number |
18390297
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛島 廣治 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10091068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 賢治 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官(研究職) (60130415)
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Keywords | ウイルス性下痢症 / ノロウイルス / ロタウイルス / イムノクロマトグラフィー / LAMP法 / RT-PCR法 |
Research Abstract |
1.ノロウイルス検出を迅速に行うイムノクロマトグラフィーの開発を行った。頻度の高いGII/4とGII/3を検出できるmonoclonal抗体を用いて臨床応用に向け基礎的検討をおこなった。日本の検体を用いた市販ELISA法との比較結果はRT-PCR法を基準として感度、特異度、一致率がそれぞれ78.9%(ELISA:90.4%)、96.4%(同:96.4%)、92.4%(同:95.0%)であった。一方、GI/1、GI/11、GII/2、GII/3、GII/4、GII/5、GII/6に対する各polyclonal抗体を使用したより広範なgenotypeに対応できるICを開発中である。こちらは多種のVLPへの反応を確認し、臨床検体への応用を準備中である。 2.RT-PCR法よりも手軽で、迅速なノロウイルス核酸検出法であるLAMP法をRT-PCR法と比較した。GIIに対しては非常に高い感度と特異度を示した。GIについてはprimerの設計に改良が必要と思われる。 3.2004〜2005年度も日本の乳幼児ウイルス性下痢症起因ウイルスを調べ、過去の結果と比較した。前年度まではロタウイルスの頻度が最も高く、次がノロウイルスであったが、この年度はノロウイルスの頻度がロタウイルスを凌駕した。ロタウイルスのG血清型はG1が落ち込み、G3が急上昇した。G3の遺伝的多様性が認められた。ノロウイルスはGII/4が最頻出genotypeであったが新しいrecombinant株の出現が見られた。サポウイルス、C群ロタウイルス、アデノウイルスによる集団感染が観察された。 4.ノロウイルスのgenogroupを越えて反応するmonoclonal抗体のepitope解析より、この抗体が立体構造に反応する抗体で今まで報告されていないepitopeを認識し、genus-specificな抗体である可能性を示した。
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