2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜異常とオートファジーに注目したライソゾーム病の中枢神経変性メカニズムの解明
Project/Area Number |
18390299
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
難波 栄二 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 教授 (40237631)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜垣 克美 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 助教授 (90294321)
|
Keywords | 脳神経疾患 / 神経科学 / 脂質 / 糖質 |
Research Abstract |
GM1-ガングリオシドーシスなどのライソゾーム病の中枢神経障害のメカニズムは、未だ不明な部分が多い。GM1は神経細胞膜マイクロドメインに豊富に存在し、神経細胞の生存・分化に重要な種々の細胞内シグナル伝達に関わっている。β-ガラクトシダーゼ遺伝子欠損ノックアウトマウスは脳神経細胞内のGM1/GA1の蓄積と進行性中枢神経症状を示すGM1-ガングリオシドーシスモデルである。我々はこのノックアウトマウス脳から採取した初代神経系細胞および繊維芽細胞株を用い、GM1蓄積から神経細胞障害に至る分子機構の解明を行った。モデルマウス生後8日目小脳由来培養神経細胞および脳組織において、GM1の細胞膜蓄積、異常局在が認められた。細胞膜マイクロドメインでGM1と結合している神経栄養因子受容体(Trk)が著しく減少し、Trk受容体のリン酸化および下流シグナルも低下していた。また、ノックアウトマウス由来培養小脳顆粒細胞はプレアポトーシスマーカーのアネキシンV陽性を示したが、これに対し脳由来神経栄養因子(BDNF)を培養液中の添加はTrk受容体のリン酸化を誘導し、細胞死を有為に抑制した。一方、ライソゾームによる分解系オートファイジー(自食作用)は、飢餓や炎症により誘導され、自らの構造を壊すことで細胞の生存・維持に働く生理機能であるが、ある病的な状態における過度のオートファジーはアポトーシスやネクローシスとは異なるオートファジー性細胞死として、近年ある種の神経細胞死との関連が報告されているが、その実態は不明である。これまで結果、GM1-ガングリオシドーシスモマウス脳においてオートファジーマーカーLC3はGM1の蓄積小胞と共局在し、活性型LC3の有為な上昇が認められ、ライソゾーム内の糖脂質の蓄積によるオートファジーの異常な活性化を示唆している。 また、GM1-ガングリオシドーシスの治療法としてケミカルシャペロン法を開発しているが、ヒト繊維芽細胞に対する効果をまとめ報告した(Brain Dev 2006)
|
Research Products
(1 results)