2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜異常とオートファジーに注目したライソゾーム病の中枢神経変性メカニズムの解明
Project/Area Number |
18390299
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
難波 栄二 Tottori University, 生命機能研究支援センター, 教授 (40237631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜垣 克美 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 准教授 (90294321)
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Keywords | 脳神経疾患 / 神経科学 / 脂質 / 糖鎖 / オートファジー / シグナル伝達 |
Research Abstract |
GM1-ガングリオシドーシスの神経障害に関わる細胞膜機能異常とシグナル伝達系について解析を行った。モデルマウス脳組織、および小脳初代神経細胞の細胞膜脂質ラフトにGM1-ガングリオシドとコレステロールが蓄積し、膜流動性が低下していた。また、疾患神経細胞では糖脂質のエンドサイトーシス後のゴルジ体への輸送が異常を来たし、エンドソーム系に蓄積することを見いだした。これらが原因となり、脂質ラフトでの神経栄養因子受容体Trkシグナルの恒常的な亢進を引き起こし、下流シグナルの異常を来していることも見い出した。一方、ライソゾーム内のGM1の蓄積はオートファジーの機能異常とミトコンドリア機能低下を引きおこし、神経細胞障害と関連していることも明らかにしている。このオートファジーの異常は、siRNAを用いβ-ガラクトシダーゼ遺伝子をノックダウンした培養神経細胞株PC12で同様に観察され、神経栄養因子NGF刺激により細胞死が誘導された。このKGF刺激による細胞死はK252aによるTrkシグナル阻害とともに、オートファジー阻害によっても抑制された。これらの結果は、Trkシグナルとオートファジーの異常が神経細胞障害に互いにクロストークしていることを示唆する。今後、共通するシグナル経路についてさらに詳細な解析を行うことで、新たな分子標的療法の可能性を探ることができると考えている。また、オートファジーについては、ニーマン・ピック病C型、ムコリピドーシスII/III型の細胞でも同様の機能異常を明らかにした。オートファジー異常はライソゾーム病に共通に見られ、発症メカニズムや治療戦略にも新たな視点を得られたと考えている。
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Research Products
(10 results)