2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳画像法と分子生物学的手法による高機能自閉症の病態発生に関する研究
Project/Area Number |
18390321
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 和彦 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部附属病院, 講師 (80263911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 則夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00174376)
尾内 康臣 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (40436978)
辻井 正次 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 客員教授 (20257546)
武井 教使 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (80206937)
土屋 賢治 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (20362189)
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Keywords | 自閉症 / 画像 / 遺伝子 |
Research Abstract |
(1)脳画像研究 (i)PET(Positron Emission Tomography:陽電子放出型断層撮影) 本年度は脳内ミクログリア活性に注目しトレーサーである末梢型ベンゾジアゼピンに焦点をあてたPET研究を行った。自閉症では健常者と比較して,大脳皮質全般,基底核,中脳,小脳に渡る広範囲の部位で末梢型ベンゾジアゼピンが有意に上昇していた。ゆえに脳全体においてミクログリア活性が上昇していることが明らかになった。今回の結果によって,自閉症は何らかの原因によって脳内に炎症反応が起こり継続していることが明らかになった (3)生化学計測,遺伝子解析 血清サンプルを用いて,生物学的診断マーカーをスクリーニングする試みを行なった。対象は未服薬の自閉症群で健常者と比較した。今回は,血清を用いて,epidemal growth factor(EGF),platelet-endothelial adhesion mlecule(PECAM-1),intracellular adhesion mlecule(ICAM-1),vascular cell adhesion mlecule(VCAM-1)の定量を行った。臨床遺伝解析はAGREの高機能自閉症トリオサンプル104家系,知的レベルを考慮しないトリオサンプル252家系を用いた。精神症状評価はAggression Questiomaireスコア,Y-BOCS,ハミルトンうつ病評価尺度,ハミルトン不安評価尺度を用いた。EGF,PECAM-1に関して有意に減少を認めたが,臨床症状との相関はなかった。ICAM-1,VCAM-1に関して有意差は認めなかった。次に有意差のあったEGFについて,家族内相関解析を行った。EGFは高機能自閉症のトリオサンプル104家系において相関はトレンドであった。 今回の血清での所見は,自閉症においてneuroinflammationが生じていたという結果を支持するかもしれない。臨床症状との相関がなかったのでこれらの因子はstate markerではなくtrait markerとして有用と考えられた。
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