2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390324
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
楯林 義孝 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (80342814)
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Keywords | 気分障害 / うつ病 / 抗うつ薬 / オリゴデンドロサイト / 神経前駆細胞 / NG2 / 海馬 / GABA |
Research Abstract |
気分障害に介在(GABA)神経系の機能低下が関与している可能性が以前より示唆されている。例えば死後脳研究では、躁うつ病患者の海馬や前頭葉においてGABA神経のマーカーであるグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)やPalvalbuminの比較的特異的な発現低下報告されている。また抗うつ薬や気分安定薬の作用機序の研究では、長期投与でGAD活性の上昇やGABA受容体の増加が生じる事が報告されている。KondoとRaff(2000)はP6ラットの視神経より分離培養した未分化なオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPCs)が、特殊な条件下で、GAD陽性の介在神経細胞に分化する能力を獲得する事を報告した。その後も同様の報告が相次ぎ、OPCsがある種の神経前駆細胞であることが指摘されている。成体脳におけるOPCsの役割や病態への関与を研究するためには、簡便で効果的なin vitroの細胞培養系の確立が欠かせないが、われわれが知る限り、そのような方法は報告されていない。今回、我々は独自に成体ラット脳よりOPCsを分離培養する方法を確立した。この方法では、ほぼあらゆる,月齢の成体ラット脳のほとんどの部位から、セルソーターなどを使用せずに簡便、高純度かつ比較的大量にNG2陽性のOPCsを無血清培地で分離・培養する事が可能である。また、これらの細胞は培養条件によってGAD67陽性の介在神経細胞様に分化したり、GFAP陽性のアストロサイトに分化する事も示した。今後は、in vivoと対比しながら、これらの細胞の特徴をより詳細に解明し、気分障害を含む精神疾患への関与を明らかにして行く予定である。
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Research Products
(6 results)