2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390324
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
楯林 義孝 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (80342814)
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Keywords | 気分障害 / うつ病 / 抗うつ薬 / オリゴデンドロサイト / 神経前駆細胞 / NG2 / 海馬 / GABA |
Research Abstract |
精神疾患とグリア細胞、特にNG2細胞の関連を研究する目的でスタンレー財団より入手した死後脳をFACSおよびウェスタン解析したところ、前頭前野(BA10)の灰白質において統合失調症(Sch)、双極性障害(BP)、大うつ病(MDD)でolig2陽性細胞数の減少とNG2発現量が低下していることを発見した。これらの結果はオリゴ前駆細胞であるNG2細胞数がSchやBP脳で減少しているか、NG2の発現量自体が減少している可能性を示唆している(Neuroscience Meeting 2007で発表)。 昨年度、神経前駆細胞の一種であるNG2細胞の成体脳からの新しい培養法を確立し、in vitroで90%以上の純度でNG2細胞の長期培養が可能なことを報告した。さらにNG2細胞が抑制系神経細胞、オリゴデンドロサイト、アストロサイトへ分化することを明らかにした。しかし、NG2細胞に関して最も重要なことは、この細胞が神経細胞との間にグルタミン酸シナプスを有する特殊なグリア細胞であることである。すなわち、NG2細胞はシナプスを通じて神経細胞から直接、興奮性・抑制性の信号を受けており、AMPA型グルタミン酸受容体を介した神経-グリア間のLTPが出現する。しかし、その意義に関してほとんど何も分かっておらず、現在世界中で研究競争が繰り広げられている。われわれは昨年度、in vitro細胞培養系の利点を生かし、NG2細胞がAMPA刺激によってグリシンを分泌することを発見した。一方、D-セリンは分泌しない。グリシンは抑制性介在神経細胞のアゴニストであると同時にNMDA受容体のコ-アゴニストである。これらの発見は、NG2細胞がグルタミン酸刺激によって、神経細胞のNMDA型受容体をさらに活性化させる機序を持つ可能性を示唆しており、新しいグルタミン酸伝達のシグナル増強機序及び神経-グリア相関機能の発見につながる可能性がある。
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[Journal Article] Insulin dysfunction induces in vivo tau hyperphosphorylation through distinct mechanisms.2007
Author(s)
Planel E, Tatebayashi Y, Miyasaka T, Liu L, Wang L, Herman M, Yu WH, Luchsinger JA, Wadzinski B, Duff KE, Takashima A
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Journal Title
J Neurosci. 27
Pages: 13635-13648
Peer Reviewed
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[Journal Article] Expression analysis of actin-related genes as an underlying mechanism for mood disorders.2007
Author(s)
Nakatani N, Ohnishi T, Iwamoto K, Watanabe A, Iwayama Y, Yamashita S, Ishitsuka Y, Moriyama K, Nakajima M, Tatebayashi Y Akiyama H, Higuchi T, Kato T, Yoshikawa T.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Common. 352
Pages: 780-786
Peer Reviewed
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[Presentation] パーソナリティ障害と自殺関連行動:松沢病院自殺関連行動研究から.2007
Author(s)
石川陽一, 五十嵐雅, 今井淳司, 大澤有香, 内海香里, 神納光平, 大島淑夫, 石本佳代, 徳永太郎, 前田直子, 針間博彦, 楯林義孝, 林直樹, 五味渕隆志, 岡崎祐士.
Organizer
東京都精神医学会第80回学術集会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2007-06-30
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より
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[Presentation] 精神病性障害の自殺関連行動の特徴:松沢病院自殺関連行動研究から.2007
Author(s)
内海 香里, 五十嵐 雅, 今井 淳司, 大澤 有香, 神納 光平, 石川 陽一, 大島 淑夫, 石本 佳代, 徳永 太郎, 前田 直子, 針間 博彦, 楯林 義孝, 林, 直樹, 五味渕 隆志, 岡崎 祐士
Organizer
東京都精神医学会第80回学術集会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2007-06-30
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[Presentation] 自殺意図尺度(SIS)による自殺の意図についての検討:松沢病院自殺関連行動研究から.2007
Author(s)
大澤 有香, 五十嵐 雅, 今井 淳司, 内海 香里, 神納 光平, 石川 陽一, 大島 淑夫, 石本 佳代, 徳永 太郎, 前田 直子, 針間 博彦, 楯林 義孝, 林 直樹, 五味渕 隆志, 岡崎 祐士
Organizer
東京都精神医学会第80回学術集会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2007-06-30
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[Presentation] 自殺関連行動のきっかけとなる悩み・ライフイベント:松沢病院自殺関連行動研究から.2007
Author(s)
五十嵐 雅, 今井 淳司, 大澤 有香, 内海 香里, 神納 光平, 石川 陽一, 大島 淑夫, 石本 佳代, 徳永 太郎, 前田 直子, 針間 博彦, 楯林 義孝, 林 直樹, 五味渕 隆志, 岡崎 祐士
Organizer
東京都精神医学会第80回学術集会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2007-06-30
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