2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390335
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
高橋 昭久 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60275336)
|
Keywords | 放射線治療学 / 温熱治療 / 温熱耐性 / DNA二本鎖切断 |
Research Abstract |
がん温熱治療療法の問題点として温熱耐性が知られている。温熱耐性獲得のメカニズムは、あらかじめの温熱で誘導されたHSPがこのPolβの熱変性をレスキューすることでDSB生成量が少なくなるためか、DSB修復酵素の熱変性をレスキューするためなのか、または、DSB認識タンパク質の局在異常が正常になるためと考えている。我々は温熱耐性獲得機構を明らかにすることで、その耐性を抑制し、がん治療効果の増進を目指している。今回は、タンパク質熱変性のレスキューに関わるHSPと温熱によるDSB生成機構に関わることが予想されるpolβに注目して、温熱耐性における役割の解明を目的とした。 Polβ欠損線維芽細胞と正常線維芽細胞を用いて、あらかじめ45.5℃、5分間温熱処理し、時間をおいて再度45.5℃温熱処理し、コロニー形成法により温熱耐性を調べた。また、HSP阻害剤のKNK437をあらかじめ処理し、温熱耐性について調べた。DSBの生成にっいてはフローサイトメトリーを用いた免疫蛍光染色法によるヒストンH2AXのリン酸化量で解析した。その結果、あらかじめの温熱処理後6および12時間目に正常細胞は、Polβ欠損細胞に比べ2倍近い温熱耐性が見られた。あらかじめのHSP阻害剤処理によって、両細胞とも温熱耐性は低下した。温熱耐性を獲得するとピストンH2AXのリン酸化量は少なくなり、一方、温熱耐性が低下するとヒストンH2AXのリン酸化量は多くなり、生存率の結果と高い相関性を示した。以上のことから、あらかじめの温熱で誘導されたHSPが熱変性したPolβを修復することでDSB生成量が少なくなるため耐性になること、Polβ以外にもHSPがレスキューするタンパク質が温熱耐性に関与していることが示唆された。
|