2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390335
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
高橋 昭久 Nara Medical University, 医学部, 講師 (60275336)
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Keywords | 放射線治療学 / 温熱治療 / 温熱耐性 / DNA二本鎖切断 |
Research Abstract |
がん温熱治療療法の問題点として温熱耐性が知られている。温熱耐性獲得のメカニズムとして、これまでの研究結果から、あらかじめの温熱で誘導されたHSPが熱変性したPolβを修復することでDSB生成量が少なくなるため耐性になること、Polβ以外にもHSPがレスキューするタンパク質が温熱耐性に関与していると考えている。我々は温熱耐性獲得機構を明らかにすることで、その耐性を抑制し、がん治療効果の増進を目指している。今回は、DNA二本鎖切断の損傷認識にかかわるH2AX、MDC1、NBS1、BRCA1、非相同組換え修復にかかわるKu80、XRCC4、LIG4、REV3L、相同組換え修復にかかわるXRCC2、BLM、WRN、DNA架橋除去にかかわるFANCA、FAVCC、FANCD、乗換え修復にかかわるREV1、除去修復にかかわるPOLβ、POLη、POLι、peLκ、LIG1、PARPについて、それぞれのノックアウトマウスから確立されたMEF細胞を用い、あらかじめ45.5℃、5分間温熱処理し、時間をおいて再度45.5℃温熱処理し、コロニー形成法により、温熱感受性と温熱耐性における各種遺伝子の関与を調べた。 その結果、DSB損傷認識、乗換え修復と非相同組換え修復にかかわる遺伝子欠損細胞は温熱感受性に差は認められなかったが、相同組換え修復にかかわる遺伝子欠損細胞は温熱に感受性である傾向が認められた。しかし、温熱耐性に差が認めれられる関連遺伝子はPolβ以外で確認することはできなかった。今後、温熱感受性が示唆された細胞について、それぞれのrevertantを作製し、再び温熱感受性を調べることが必要である。このような研究アプローチによってがん温熱療法における標的遺伝子を明らかにすることで、がん治療効果の増進に貢献していきたい。
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