2007 Fiscal Year Annual Research Report
血液型不適合及び異種移植におけるCDld分子を介した糖鎖抗原認識機構の解明と制御
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18390349
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浅原 利正 Hiroshima University, 学長 (70175850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大段 秀樹 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (10363061)
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Keywords | 移植免疫 / ABO不適合移植 / 異種移植 / 抗体性拒絶反応 / NKT細胞 |
Research Abstract |
ABO血液型不適合移植では臓器血管内皮に存在する、A/B血液型糖鎖抗原が、またプターヒト間の異種移植ではGalα1-3Galb1-4GlcNAc(Gal)糖鎖抗原やN-glycolylneuraminic acid (NeuGc)糖鎖抗原が標的となり抗原抗体反応により移植臓器が廃絶される。我々は、A/B血液型抗原、Gal抗原あるいはNeuGc抗原に反応性を示すB細胞を特異的に制御しうるプロトコールの確立を目指し研究を推進してきた。 本年度の研究では、これらの移植関連糖鎖抗原反応性B細胞の分化増殖に関わるnatural killer T (NKT)細胞の役割を解析した。また、通常のペプチド抗原、主に主要適合抗原(MHC)に対する抗体産生に対するNKT細胞の関与を解析した。CDld(NKT細胞が使用するVα14-T細胞レセプターに対するligand)-ノックアウト(KO)マウス(NKT細胞機能欠損マウス)とVα14-KOマウス(NKT細胞欠損マウス)あるいは野生コントロールマウスをヒトA型赤血球で免疫した後に、血清中抗A型糖鎖抗体を測定した。野生コントロールマウスでは、α-galactosylceramide(α-GalCer)(CDld上に提示されNKT細胞上のinvariant TCRによって認識される)の併用投与により、抗A型赤血球IgM,IgG抗体産生の促進が認められた。しかし、CDld-KOマウスとVα14-KOマウスでは、免疫後の抗A型IgM抗体産生は有意に抑制され、IgG型抗体へのクラススイッチを認めなかった。また、CDld-KOマウスに野生マウス由来のNKT細胞含む肝内在リンパ球を移入したところ、抗A型赤血球抗体の産生が促進された。また、CDld-KOマウス、野生コントロールマウスでMHCに対する抗体産生には有意な差はなく、CDld-KOマウスにおいてもクラススイッチは正常に認められた。この結果より、NKT細胞と血液型A抗原反応性B細胞の間には細胞間相互作用が存在し、これを制御することで血液型不適合移植における抗体性拒絶反応を回避し得る可能性が示された。また、NKT細胞の機能を抑制することではMHCに対する抗体産生は抑制することはできず、あわせて外来抗原などペプチド抗原に対する抗体産生能を侵害しないことが明らかとなった。さらに異種抗原反応性B細胞の分化増殖に関わるNKT細胞の役割を解析する目的で、Gal糖鎖-KOマウスやNeuGc糖鎖-KOマウスとCDld-KOマウスを交配し、ダブル-KOマウスを作出した。
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