2006 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞移植および肝組織作製治療の実現化にむけた前臨床研究
Project/Area Number |
18390351
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中島 祥介 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00142381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 一夫 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (40364062)
柴田 優 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (50405388)
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Keywords | 肝細胞移植 / 肝不全 / 細胞治療 / 前臨床実験 / 再生医療 |
Research Abstract |
平成18年度において、肝細胞を利用した様々な治療法の確立にむけて、ヒト肝組織からの成熟肝細胞の分離手技の確立および小動物を用いた肝不全治療実験を行った。研究の具体的内容について以下に列記する。 (1)肝不全病態に対する肝細胞を用いた治療法の確立 マウス肝臓の70%を切除し、さらに残葉の2/3の流入血行を遮断することにより、劇症肝不全を誘導した。無処置マウスに本劇症肝不全を誘導した際は、全てのマウスが24時間以内に死亡することを確認した。この劇症肝不全病態における成熟肝細胞を用いた肝組織作製の治療効果を検討した。具体的には、劇症肝不全を誘導する3日前に、我々が確立した手法に従い(Ohashi et al. Hepatology 41:132-140,2005)肝細胞を用いて腎被膜下に小肝組織を作製したところ、マウスの生存期間の延長を認め、10%のマウスにおいて救命に成功した。 (2)遺伝子導入肝細胞を用いた治療法の確立 肝組織作製に用いる分離肝細胞の高機能化を図ることにより劇症肝不全の治療効果を高めることを目的に、肝細胞にHGP遺伝子を導入した。我々の開発した遺伝子導入法に従い(Kuge et al., Cell Transplantation 15:1-12,2006)アデノウイルスベクターを用いてHGF遺伝子を導入し、腎被膜下に小肝組織を作製したところ、遺伝子非導入の通常肝細胞にて肝組織を作製した群と比較し、有意なマウスの生存期間の延長と40%と高い救命をもたらした。 (3)ヒト肝細胞分離技術の確立と培養下機能評価 奈良県立医科大学付属病院において、転移性肝癌等の疾患のため肝部分切除にて摘出された肝臓標本の癌部以外の正常肝組織を用いて、肝細胞分離を行った。分離は、2段階コラゲナーゼ還流法を基本に一部修正して行った。コラゲナーゼの選定、コラゲナーゼ濃度、および還流速度と温度の観点から、ヒト肝細胞分離法の至適化を行った。その結果、viability80%以上(トリパンブルー染色法)の肝細胞を得ることが可能となった。また、ヒト肝細胞を初代培養したところ、良好な接着を示すとともに、アルブミン等の蛋白発現や、リドカインの代謝能力の機能評価においても良好な肝機能を発揮することを確認した。尚、この臨床材料の取り扱いにおいては、摘出組織の一部を研究目的に使用することについて、インフォームドコンセントを行った後、書面にて許諾を得る手順を踏み、本研究の遂行は患者およびその家族から許諾を得た場合に限定した。
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Research Products
(7 results)