2006 Fiscal Year Annual Research Report
インテリジェント型バイオナノカプセルによる外科領域における新治療薬の開発
Project/Area Number |
18390352
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上田 政和 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (50142419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 浩光 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20216261)
菅家 大介 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00365272)
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Keywords | HB_s抗原 / ヒト肝細胞 / ナノカプセル / パクリタクセル / 分子標的能 |
Research Abstract |
本年度は、HB_s抗原を結合させヒト肝細胞認識能を有し、かつパクリタクセルを封入した生体適応2重脂質膜でおよそ50-100nmの直径を有するMPCポリマーによる肝細胞癌に対する特異的殺細胞効果とMPCポリマーに遺伝子を組み込んだプラスミドを結合させてヒト肝細胞癌特異的に蛋白を発現させることが出来るようになったので、そのことを報告する。(材料と方法)1)MPCポリマーにエステル結合によりHB_s抗原を結合させ、パクリタクセルと混合させることによりパクリタクセルを封入した6その後、ヒト肝細胞癌であるHepG2とヒト大腸癌であるWiDrにin vitroで添加して、その殺細胞効果を対照であるパクリタクセル封入MPCポリマーと比較検査した。2)MPCポリマーにエステル結合によりHB_s抗原を結合させ、GFPおよびFlt-1cDNAを組み込んだplasmidをイオン的に吸着させたものを、ヒト肝細胞癌株であるHepG2とヒト大腸癌WiDrにin vitroおよびin vivoで投与して、それぞれ培養液や癌組織中および各種マウス臓器中のタンパクの発現をELISA法や蛍光顕微鏡を使用して検討した。(結果)1)HB_s抗原結合パクリタクセル封入MPCポリマーでは、ヒト肝細胞癌であるHepG2では、対照であるパクリタクセル封入MPCポリマーよりもin vitroでのほぼ2倍の殺細胞効果が認められたが、ヒト大腸癌であるWiDrではこのような差異はまったく認められなかっが。2)HepG2の培養液中にはELISA法によりFlt-1タンパクの発現が認められたが、WiDrではまったく認められなかった。また、それぞれの細胞株に、GFPcDNAを組み込んだプラスミドを培養液中に添加するとHepG2でのみ緑色蛍光が認められた。それぞれの細胞株をヌードマウス皮下に移植したモデルに、各々のプラスミドを静注して、ラット各種臓器および移植腫瘍組織を採取し、各組織中Flt-1濃度をELISA法で測定するとHepG2腫瘍組織中でのみFlt-1タンパクが検出され、WiDrやラットの肝臓、脾月蔵、筋肉、腎臓などには全く検出されなかった。
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