2008 Fiscal Year Annual Research Report
インテリジェント型バイオナノカプセルによる外科領域における新治療薬の開発
Project/Area Number |
18390352
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上田 政和 Keio University, 医学部, 准教授 (50142419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 浩光 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20216261)
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Keywords | HBs抗原 / ヒト肝細胞 / ナノカプセル / 分子標的 |
Research Abstract |
インテリジェント型バイオナノカプセルによる外科領域における新治療薬の開発ということを目的として、本年度は1)B型肝炎ウイルスHBs抗原L粒子にC型肝炎ウイルスを切断可能なsiRNAを、2)EpCAMのRNAを切断可能なsiRNAをそれぞれ封入して、C型肝 炎治療薬や肝細胞癌治療薬と発展させることがでざるかどうか明らかにした。さらに、3)HBs抗原L粒子を結合させてパクリタクセルを内包したMPCポリマーによりヒト肝細胞癌のみを選択的に抑制可能であるかを明らかにした。以下、3項目についてまとめる。 1)リボソームにC型肝炎ウイルスを切断するsiRNAを封入してL粒子に反応させて融合させたsiRNA封入L粒子をレプリコンを産生するヒト肝細胞癌にHuh7にin vitroで24時間、48時聞反応させて、レプリコン数を測定するとsiRNAを封入したL粒子を投与した群ではレプリコンの産生は全く認められず、またcontrol RNAを封入したL粒子より有意に抑制されていた。一方、リポソームを融合したL粒子は対照群と同様かレプリコン産生が認められた。 2)リポソームにEpCAM RNAを切断するsiRNAを封入しL粒子と融合させたsiRNA封入L粒子をヒト肝細胞がであるHepG2とヒト扁平上皮癌であるT10にin vitroで投写するとHepG2でのみEpCAMのRNA産生と細胞増殖が抑制きれが、T10では全く抑制は認められなかった。 3)HBs抗原PreS1結合パクリタクセル封入MPCポリマーをin vitrおよびin vivoでひヒト肝細胞癌であるHepG2とヒト大腸癌WiDrに投与するといずれの場合でも、ヒト肝細胞癌であるHepG2のみで著明な増殖抑制や抗腫瘍効果が認められた。 以上の成績は、インテリジェント型バイオナノカプセルによりヒト肝細胞のみを標的とした治療薬の開発可能であることを明らかにしており、今後さらなる研究によりtranslational researchが期待されると共に、RNAウイルス疾患に対する新規治療薬の可能性も有していることをしめしている。
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