2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌と周囲微小環境相互作用を標的とした癌の増殖および転移抑制治療に関する研究
Project/Area Number |
18390355
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Research Institution | Institute for Animal Reproduction |
Principal Investigator |
日下部 守昭 (財)動物繁殖研究所, 実験動物研究センター, 主席研究員 (60153277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 雅朗 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (10319543)
紅林 淳一 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10248255)
橋本 尚詞 東京慈恵医科大学, 医学部, 助教授 (80189498)
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Keywords | 外科 / 生体分子 / 細胞外マトリックス / テネイシン / 抗体治療 / 細胞間相互作用 / 病理学 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
本課題の目的は、腫瘍のテネイシン(TN)が腫瘍細胞や間質細胞にどのような分子機構を介して影響しているのか解明し、TN及びテネイシン誘導因子(TIF)を標的として、癌と周囲微小環境間の細胞間相互作用を制御し、癌の増殖および転移を抑制する治療法を確立することである。 本年度は以下の実験を行った。 1)抗TN抗体及びTIF抗体の精製 腫瘍抑制実験に用いるため、抗TN抗体(3-6)、及び抗TIF抗体(27-4A)を産生するハイブリドーマの培養上清から抗体を精製した。 2)抗TN抗体及び抗TIF抗体による腫瘍成長抑制実験 本年度は、ヒト扁平上皮癌(A431)、1X10^6細胞をヌードマウスの背部皮下に移植後、各抗体を1週目(250μg/shot)より毎週1回(合計3回)を腹腔投与し、4週目に解析した。腫瘍の成長は、長径X(短径)^2÷2の公式にて算出し推定重量とした。成長抑制率は、抗体投与群(T)と抗体非投与群(C)より、(1-T/C)x100%として算出した。 結果、抗TN抗体のよる抑制率は、40%〜50%であり、抗TIF抗体による抑制率は、60%であった。TNの抑制よりもTIF抑制の方が抑制効果が高いことが分かった。今後は乳癌を用いて検証を行う予定である。 3)癌の間質因子によるテネイシンとEGF受容体発現の定量的解析 胎生14日正常マウス胎仔(W)及び胎生14日TNKOマウス胎仔(KO)の線維芽細胞から、それぞれ培養上清(CM)を調製した。この上清を添加した培地にてヒト乳癌細胞(KPL4)を培養し、そのテネイシンとEGF受容体の発現をリアルタイムPCRによって解析した。その結果、WCM添加では、TN及びEGF受容体ともにその発現が上昇したが、KOCM添加では、影響が見られなかった。これより、間質因子は、TN及びEGF受容体の発現調整に関わっていることが示唆された。
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