2006 Fiscal Year Annual Research Report
膜乳化ナノ技術による癌透過性エマルジョンを用いた耐性阻止分子標的治療の検討
Project/Area Number |
18390360
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
江里口 正純 昭和大学, 薬学部, 客員教授 (10114406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久 智行 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任講師 (80281278)
高橋 浩之 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (70216753)
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Keywords | 膜乳化法 / WOWエマルション / 中性子捕捉療法 / ボロン化合物 / ファルモルビシン / 肝動注化学療法 |
Research Abstract |
膜乳化法という先駆的なナノテクノロジー技術を応用し、癌血管選択的なインテリジェントデリバリーシステムを開発するための基礎研究を行った。我々が現在までに進めている中性子捕捉療法(BNCT)はボロン原子と熱中性子の核反応により細胞障害を生じる(^<10>B+^1n→^7Li+^4He(α)+2.31MeV)。その反応飛呈は約10μmであり、ボロン原子を腫瘍選択的に集積できれば、周囲の正常組織を傷害せずに癌細胞を選択的に破壊することが出来る。我々は、難治癌のひとつである肝細胞癌に対して中性子捕捉療法を応用すべく、VX-2ウサギ肝腫瘍モデルに対し、ボロンキャリアーとしてWOWエマルジョンを用いることにより癌組織選択的にボロン原子を集積することに成功した。Na_2^<10>B_<12>H_<11>SH(BSH)水溶液とLipiodolのエマルションをシラス多孔質ガラスフィルター(SPG膜)を通しボロン封入WOWエマルションを作製した。このエマルションをVX-2ウサギ肝腫瘍モデルに対して固有肝動脈より投与し、ICP-Masspectroscopy腫瘍組織および正常肝組織におけるボロン濃度を測定し、さらに組織学的検討を行った。ボロン封入WOWエマルションを肝動注1,3,7日後の腫瘍組織におけるボロン濃度はそれぞれ141ppm、61ppm、28ppmであり対照群のボロンLipiodol混和液の肝動注1,3,7日後の腫瘍組織におけるボロン濃度はそれぞれ58ppm、24ppm、9ppmであった。組織学的にWOWエマルション投与群では腫瘍組織においてLipiodol混和液よりのサイズの小さい均一な脂肪滴を認めた。さらに、電顕像においてWOWエマルション投与群では腫瘍細胞内にWOWエマルションの取り込み像を認めた。以上の結果より、肝臓癌において癌選択的にボロン原子を集積させるにはWOWエマルションがより優れている事がわかり、中性子捕捉療法におけるボロンキャリアーとして応用が可能である。 また、種々の抗癌剤(ファルモルビシン、オキサリプラチンなどのプラチナ化合物など)をSPG膜を用いた膜乳化法によりエマルション内に封入できるかも検討を開始している。
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Research Products
(3 results)