2007 Fiscal Year Annual Research Report
膜乳化ナノ技術による癌透過性エマルジョンを用いた耐性阻止分子標的治療の検討
Project/Area Number |
18390360
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
江里口 正純 Showa University, 薬学部, 客員教授 (10114406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 浩之 東京大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70216753)
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Keywords | 膜乳化 / WOWエマルション / 肝動注化学療法 / エピルビシン / SPG膜 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
膜乳化法という先駆的なナノテクノロジー技術を応用し、癌血管選択的なインテリジェントデリバリーシステムを開発するための基礎研究を行った。原発性肝臓癌の治療においては肝切除が行える症例は約30%と少なく、術前・後に施行される肝動注化学療法では抗癌剤とリピオドールを混和して注入するが、この手法では抗癌剤は容易にリピオドールと分離し腫瘍内に貯留していない現状であり、標準治療の確立が急務である。我々は2段階膜乳化法というWOWエマルションのサイズをマイクロ〜ナノオーダーまで個別のサイジング可能な最新の手法を用いて、臨床応用を目指しGLPレベルのエピルビシン封入WOWエマルションを作製し前臨床試験を施行中である。南九州に存在するシラスを用いて熱および酸処理することによりシラス多孔質ガラスフィルター(SPG膜)を開発した。このSPG膜を用いて、エピルビシン封入WOWエマルションを作製した。我々が作製したwowエマルションは約70μmに均一なサイジングができており現在までに約10ケ月間安定性を確認している。このエピルビシン封入WOWエマルションをウサギVX-2肝腫瘍モデルに対して固有肝動脈より肝動注した場合に著明な腫瘍増殖抑制効果を認めた。HE染色・脂肪染色により腫瘍組織におけるリピオドールの沈着を認め、電子顕微鏡像において腫瘍細胞内にWOWエマルションの集積像を認めることもできた。腫瘍細胞へのエピルビシンの集積はWOWエマルションを用いて増加しEndocytosisの機序も考えられる。このWOWエマルションを用いての肝臓癌に対する標準治療への応用が;期待できる。現在、種々の非ウイルスベクター複合体(plasmid DNA/PEI/PEG-C/JTS-1)およびsiRNA複合体SPG膜を用いた膜乳化法Oによりエマルション内に封入できるかも検討を開始している。
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