2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390364
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
角 昭一郎 Kyoto University, 再生医科学研究所, 准教授 (80252906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 直哉 岡山大学, 医学部・歯学部付属病院, 講師 (10325102)
日裏 彰人 京都大学, 再生医科学研究所, 講師 (20378904)
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Keywords | 再生医療 / 糖尿病 / バイオ人工膵 / カプセル化膵島 / 血管新生誘導 / 細胞融合 / 膵島移植 / ポリビニルアルコール |
Research Abstract |
糖尿病治療に応用可能な細胞資源を探求する研究の一環として、通常はin vitroでは増殖しない膵島細胞が未分化細胞との細胞融合によるリプログラミングを通して増殖能を獲得する可能性について検討する目的で、ラットの膵島細胞と間葉系幹細胞との電気的細胞融合の実験を行い、基礎的な細胞融合技術を確立した。今後は、in vitroでの増殖・インスリン分泌動態や、移植時の機能・増殖等の評価を進める。膵島移植に代わるバイオ人工膵の開発研究では、膵島凍結保存液にポリビニルアルコール(PVA)を溶解した溶液に膵島を浮遊させ、これをシート状に成形してメッシュで補強した後、凍結・溶解してゲル状のマクロカプセル化バイオ人工膵シートを作成する方法を研究した。この方法によれば、デバイスの面積や厚さを自由にコントロールすることが可能で、将来の大型化に大きく道を拓くものと考えている。本年は、このバイオ人工膵を用いてラットから重症糖尿病ラットへの同種同系および同種異系膵島移植実験を行って、デバイスの効果と問題点を明らかにすることを試みた。その結果、単純な膵島移植では拒絶されるウイスター系からルイス系への移植であっても、比較的長期の血糖低下が得られることを確認している。一方、ルイス系からルイス系への膵島移植は拒絶されることなく長期にわたり機能するが、この系で膵島をマクロカプセル化した場合は、異系の場合と類似した経過で機能が廃絶することが示された。今後は、カプセル化膵島のより長期の機能維持を目指して、カプセル化法の改善を課題として取り組んでいる。また、バイオ人工膵の皮下移植や、閉塞性動脈硬化症など虚血性疾患の治療に応用するための血管新生誘導の基礎的研究では、昨年度に引き続き、ラット背部の虚血皮弁モデルを用いて、皮弁皮下へのフィブリン塗布が虚血性皮弁の血流を改善し、壊死を抑制することを報告した。
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