2006 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌の網羅的遺伝子および蛋白解析に基づく新規診断と創薬の研究開発
Project/Area Number |
18390366
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岡 正朗 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70144946)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和行 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90107748)
飯塚 徳男 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (80332807)
|
Keywords | 肝癌 / 遺伝子 / 蛋白 / 診断 / 創薬 |
Research Abstract |
・肝癌再発の予測を行う目的で、既報の12遺伝子に加え、肝癌再発に関し再現性の高い遺伝子18個をピックアップした。30個の肝癌再発関連遺伝子と・β-actin, GAPDH, SAR73を加えた33プローブセットのデザインを行い、バイオチップ用基板上にソリッドピンタイプのスポッターを用いて固定し、低コストアレイを完成させた。種々の条件設定にて最適プロトコールを決定、肝癌32サンプルからのRNAのGAPDHに対する相対的発現量を算出した。30遺伝子の中で20遺伝子(67%)が、肝癌32例の再発群と無再発群間で有意な発現差を示した。 ・プロテオメックス法によりHCV-HCCの新たな診断マーカーとなり得る血中抗体の検討を行った。患者血清にはHSP70、peroxiredoxin、 superoxide dismutaseに対する抗体が健常人やHCVキャリアの血清と比較して高頻度に発現していた。今回同定された蛋白はHCV-HCCの発癌過程において重要な役割を担うと思われ、同定した血中抗体を診断マーカーとして有用である。 ・肝癌細胞株を用い、遺伝子操作にてID2遺伝子を発現増強あるいはノックダウンして、細胞増殖および浸潤能を検討した。細胞増殖には影響はなかったが、ID2遺伝子が浸潤能に関連していた。また、ID2遺伝子発現とVEGFの産生に関連があることが判明した。 ID2遺伝子は浸潤および血管新生に関与しており、分子標的になる可能性がある。 ・α-enolase 1(Enol)をRNAiでノックダウンし、肝癌細胞株HLEの増殖を検討した。増殖抑制が生じ、グルコース飢餓状態でも増殖抑制を認めた。増殖抑制は細胞死によるもので、cMycとE2F1発現低下、HO1とcatalaseの発現増強、 SOD2発現の低下が認められた。 Eno1は糖代謝だけでなく癌細胞の生存に関連しており、分子標的になる可能性がある。
|