2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌の網羅的遺伝子および蛋白解析に基づく新規診断と創薬の研究開発
Project/Area Number |
18390366
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岡 正朗 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 教授 (70144946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和行 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90107748)
飯塚 徳男 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80332807)
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Keywords | 癌 / ゲノム / マイクロアレイ / プロテオーム / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
肝癌の新規診断診断システムの開発研究では、教室の肝癌データベースにより、早期肝癌にて発現低下している遺伝子群を検索し、明らかに発現低下している20遺伝子を絞り込んだ。早期肝癌切除標本20検体を用いて、メチル化の有無を検討した結果、7遺伝子が早期肝癌において100%メチル化していた。なお、非癌部ではこれらのメチル化を認めなかったことから、早期肝癌の診断に有用と考えられた。蛋白解析では、前回報告した血中HSP70自己抗体に関連した、肝癌のHSP70発現を73例のHCV関連肝癌で検討したところ67例(92%)に認められ、HSP70自己抗体が臨床的に有用である可能性が示唆された。肝癌における創薬研究では、ヒトHCC細胞株であるHuH-7及びHLE細胞株を使用して、ID2安定強制発現株やID2ノックダウン細胞を構築し、HDAC阻害剤の効果を観察した。ID2強制発現株ではmock細胞よりもHDAC阻害剤に対して耐性となり、反対にID2ノックダウン細胞ではコントロールsiRNA導入細胞よりもHDAC阻害剤に対する感受性が増加した。アネキシンV・PI・ヘキスト染色の結果から、HDAC阻害剤処理によって多くの細胞が後期アポトーシスを経て細胞死していることが確認された。ID2によるHDAC阻害剤感受性への影響と対応して、ID2が後期アポトーシス細胞への進展に関与していることが明らかとなった。また、ID2ノックダウン株では、アポトーシス抑制遺伝子(Bc1-2and Bcl-xL)の発現誘導がコントロールsiRNA導入細胞に比べて低下していた。以上より、HCC治療において、ID2そのものが標的となり得ること、またその発現レベルが効果判定の予測マーカーとなり得ることが示唆された。
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