2008 Fiscal Year Annual Research Report
高速マイクロダイセクションによる膵癌遺伝子診断とナノテクノロジーによる治療予測
Project/Area Number |
18390368
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水元 一博 Kyushu University, 大学病院, 准教授 (90253418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 英司 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30264021)
竹中 繁織 九州工業大学, 工学部, 教授 (60188208)
小名 俊博 九州大学, 農学研究院, 准教授 (10346835)
当間 宏樹 九州大学, 大学病院, 助教 (80437780)
大内田 研宙 九州大学, 大学院・医学研究院, 特任助教 (20452708)
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Keywords | 膵癌 / IPMN / S100 family / LM04 / 電気化学チップ / テロメラーゼ / hTERT / FFPEサンプル |
Research Abstract |
◆難治癌である膵癌の治療成績向上のためには、早期診断法の確立と治療効果予測に基づく的確な個別化治療が重要である。本研究では、この膵癌関連候補遺伝子群の中から高速マイクロダイセクションを利用して臨床診断に応用できる遺伝子群を選別し、膵液微量RNA解析による膵癌診断法の確立を目指した。さらに新たな電気化学チップの開発を行い、高感度・簡便・迅速・安価な膵癌診断機器の実用化のための基盤研究を進めてきた。 1.平成18年度には、Muc familyを対象としてmRNA定量解析を行い、Muc1とMuc5ACの膵発癌過程における段階的に発現増強と膵液解析による膵癌診断の有用性を報告した。平成19年度はMUC2 mRNAの解析を進め、一部の膵癌、あるいは膵癌の前癌病変の一部であるIPMNの特定のサブタイプにおいて発現増強していることがわかった。また、S100A2やSlOOA6などのS100family蛋白の段階的発現増強や膵液解析における有用性も報告した。平成20年度には、転写因子であるLMO4の膵発癌過程における段階的発現増強を発見し報告した。 2.平成18年度に開発した、膵液サンプル中のテロメラーゼ活性を測定する電気化学テロメラーゼ解析のための卓上型機器は、平成19年度に電気化学チップの改良を加え、更なる高感度を実現した定量装置を開発した。従来のTRAP法以上の感度・特異度で検出することが可能となった。 3.平成20年度には、膵液を含めた細胞診検体から高速マイクロダイセクション法により採取した標的細胞におけるhTERT mRNA定量解析を行い、これまでに報告したテロメラーゼ活性測定法や膵液検体を用いた解析よりも更に高感度な癌精密診断法を確立し報告した。 4.平成20年度には、約140症例の膵切除組織ホルマリン固定パラフィン包埋サンプルからRNAを抽出し、過去の報告をもとに膵癌の予後因子となる遺伝子群の発現を網羅的にqRT-PCRで解析した。新たな膵癌切除後の予後因子や抗癌剤治療感受性に関わるいくつかの興味深い分子を同定した。 本研究により、同定した新規癌関連遺伝子や電気化学チップの臨床応用への基盤が確立したと考えられる。
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Research Products
(4 results)