2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体肝移植における過小グラフトの血行動態に関する臨床研究
Project/Area Number |
18390370
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
川崎 誠治 Juntendo University, 医学部, 教授 (80177667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 陽一 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (20260490)
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Keywords | 生体肝移植 / 左葉グラフ / 小児生体肝移植 / グラフト障害 / 肝血行動態 / 胆道閉鎖症 |
Research Abstract |
これまで左葉グラフトを用いた成人間生体肝移植における血行動態の変化について検討してきた。その結果、左葉グラフトを用いた肝移植ではグラフト容積・標準肝容積比が平均37%であり、ドナーの左葉に流入する左門脈血流量と左全肝の血流比61±23%が左葉グラフト移植後のレシピエントでは全肝血流における門脈血流量の比率が89±11%と著明に増加することを明らかにしてきた。そのため成人例ではグラフトに過剰な門脈血流負荷がかかり、遷延する腹水が認められる症例がある。しかしながら小児の生体肝移植における肝血行動態の変化に関してはほとんど知られていない。今回の検討では小児の胆汁うっ滞性肝硬変(胆道閉鎖症)における全肝血流における門脈血流比は32±15%と著明に低下しており、移植後には門脈血流の占める割合は73±18%にまで回復した。これは移植前の左葉グラフトにおける左門脈血流・左全肝血流比69±15%と有意差のない値であった。小児例では移植後に遷延する腹水が認められる症例はなかった。小児の肝移植ではグラフト容積・標準肝容積比が成人と異なり99.9±26.7%とほぼ理想的なグラフトサイズが移植されることになり、成人例と異なり血行動態が移植後にほぼ正常な比率に是正されることが示された。
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