2006 Fiscal Year Annual Research Report
胸膜中皮腫の発生および進展形式とその生物学的特性の解析
Project/Area Number |
18390384
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 誠紀 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10252438)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 文啓 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (10283673)
奥村 好邦 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (30388813)
松本 成司 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60412011)
|
Keywords | 呼吸器外科 / 胸膜中皮腫 / 生物学的特性 / 腫瘍進展 / 手術 |
Research Abstract |
・胸膜中皮腫疑いまたは胸膜中皮腫の診断が得られている168例を対象に、胸腔鏡下生検による病理学的診断と全身CT及びFDG-PETによる病期診断を行った。その結果、病理学的に胸膜中皮腫と診断された症例は28例であり、このうち病期診断により手術可能と診断された症例は5例に過ぎなかった。すなわち他の23例は、対側胸腔や縦隔等への局所進展、リンパ節転移、あるいは遠隔転移の存在のために根治的切除は不可能と診断された。 ・外科切除対象となりうる5症例に対して、患者の同意の下に患側胸腔のみならず胸腔鏡下に胸膜生検を行い、CTまたはPETで腫瘍進展が疑われるときには対側胸腔鏡(対側胸腔進展)、縦隔鏡(縦隔リンパ節転移)や腹腔鏡(腹腔内進展)も施行し、根治性の評価を行なった。その結果、5例中1例は対側胸腔内への進展が明らかとなり手術を断念し、結局4例が手術に進んだ。しかしながらこのうち1例は術中に広範囲リンパ節転移と縦隔内進展が明らかとなり試験開胸に終わり、最終的に胸膜肺全摘除術(EPP)を完遂しえたのは3例のみであった。EPPを完遂しえた3例のうち1例には縦隔リンパ節転移を認めており、悪性胸膜中皮腫の進展形式として従来少ないとされていたリンパ節や遠隔転移が稀ではないことが明らかとなった。 ・採取検体の免疫組織化学的および分子生物学的手法により、胸膜中皮腫の生物学的解析を行った。肺癌に高頻度に認めるEGFR/K-RAS/p53遺伝子変変異のスクリーニングを全例に行なったが、いずれの変異も認められず、胸膜中皮腫の癌化の機序は肺癌とは全く異なること、及び肺癌で時に著功するEGFR-TKI投与の効果は期待できないことが明らかとなった。
|
Research Products
(7 results)