2007 Fiscal Year Annual Research Report
胸膜中皮腫の発生および進展形式とその生物学的特性の解析
Project/Area Number |
18390384
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
長谷川 誠紀 Hyogo College of Medicine, 医学部, 教授 (10252438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 文啓 兵庫医科学大学, 医学部, 准教授 (10283673)
奥村 好邦 兵庫医科学大学, 医学部, 助教 (30388813)
松本 成司 兵庫医科学大学, 医学部, 助教 (60412011)
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Keywords | 呼吸器外科 / 胸膜中皮腫 / 生物学的特性 / 腫瘍進展 / 手術 |
Research Abstract |
・平成17年-18年度に胸腔鏡下胸膜生検等により病理学的に胸膜中皮腫と診断された144例を後ろ向きに解析した。この結果全身CT及びFDG-PETによる腫瘍進行度の評価により臨床病期I-II期、つまり手術のよいと診断された症例は18例(12.5%)に過ぎなかった。更に根治手術である胸膜肺全摘除術(EPP)に耐えうるか否かを、肺機能や換気血流シンチグラフィー及び心エコー等を用いて検討した結果7例耐術能なしと判断された。 ・その結果外科切除対象となりうる11症例に対して、対側胸腔鏡(対側胸腔進展)、縦隔鏡(縦隔リンパ節転移)や腹腔鏡(腹腔内進展)を施行し、根治性の評価を行なった。その結果、1例は対側胸腔内への進展を認め手術を断念し、結局10例が手術に進んだ。しかしながらこのうち2例は術中に広範囲リンパ節転移と縦隔内進展を認めて試験開胸に終わり、最終的に胸膜肺全摘除術(EPP)を完遂しえたのは7例のみであった(1例は胸膜切除のみ)。 ・その後にEPPを完遂した8例を加えた全15例の病理組織を検討したところ、全例臨床病期I-II期であったにもかかわらず、病理病期はII期が3例で他の12例はいずれもIII-IV期と術前診断よりも実際には病期が進行していた(局所進展や縦隔リンパ節転移など)。 ・採取検体を用いて胸膜中皮腫の生物学的解析を行った。EGFR/K-RAS/p53遺伝子変変異は全く認めず、EGFR-TKI投与の効果は期待できないことが明らかとなった。免疫組織学的には上皮性腫瘍に特異的に発現しているとされる上皮接着分子EpCAMの発現を約30%の症例に認め、EpiCAMが胸膜中皮腫の診断や治療の新たな標的になることが判明した。 ・また、細胞株を用いた基礎実験で、胸膜中皮腫のKey-drugであるペメトレキセド(MTA)とゲムシタビン(GEM)の併用の際に、MTA先行投与の後にGEMを投与する逐次投与法が、同時投与やGEM先行に比べて著明に殺細胞効果が高いことを見出した。
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Research Products
(6 results)