2006 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌のゲフィチニブ個別化医療をめざす上皮成長因子受容体と周辺分子の網羅的解析
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18390386
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
光冨 徹哉 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 研究員 (70209807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢田部 恭 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 研究員 (90280809)
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Keywords | 肺がん / LKB1 / 腺癌 / 喫煙 / EGFR / KRAS / Peutz-Jeghers syndrome |
Research Abstract |
本年度はLKB1/STK11遺伝子の変異解析を中心に研究を行った。これは、Peutz-Jeghers syndrome(PJS)の原因遺伝子とされており,染色体19p13.3に位置している。セリン・スレオニンキナーゼ活性を有する蛋白をコードしており,これはGl arrestによる増殖抑制をおこし,腫瘍抑制遺伝子として機能する.肺がんにおいても19p 13.3付近のLOHは非小細胞肺癌の77%にあり、細胞株で50%、肺がん切除標本の33%にsomatic mutationがあるとの欧米からの報告があるが、日本人での検討はまだ発表されていない。今回われわれは日本人の原発性肺がん患者においてLKB1遺伝子変異について検索し、とくにEGFR遺伝子変異との関連などについて検討した。 20種類の肺がん細胞株及び2001年1月から同年11月の原発性肺がんに対し手術を施行した連続症例100例を対象とした。切除標本よりgenomic DNAを抽出しLKB1遺伝子のexonl-9についてPCR,ダイレクトシーケンスを用い変異の有無を解析し、性別・年齢・喫煙の有無・病期・組織型・予後・EGFR・TP53・KRAS遺伝子変異等との関連について検討した。 肺がん細胞株の解析では22例中4例(15%)に変異を認め、ナンセンス変異が3例、フレームシフトが1例であった。この4例は全て欧米患者由来であった.切除標本において100例中3例(3%)に変異(フレームシフトを起こす一塩基欠失1例、ミスセンス変異2例)を認めた。3例については全て腺癌、男性、喫煙者であり、それぞれ一例ずつがEGFR、KRAS, TP53遺伝子の変異を伴っていた。 今回の解析結果から、1)日本人の原発性肺がんにおけるLKB1遺伝子変異は3%であった。EGFR遺伝子変異とは逆に、欧米と比較して少ない、2)LKBl変異は喫煙者男性腺がんをターゲットとしていることなどが明らかになった。
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