2006 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経腫瘍の治療・細胞死感受性を規定する新規遺伝子の探索
Project/Area Number |
18390389
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
北中 千史 山形大学, 医学部, 教授 (70260320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 研 山形大学, 医学部, 助手 (10400540)
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Keywords | グリオーマ / Ras / JNK |
Research Abstract |
近年放射線や抗がん剤が、グリオーマ細胞に対してアポトーシスとは異なるプログラム細胞死すなわちautophagic cell deathを誘導することが明らかになってきた。従って、グリオーマ細胞の治療感受性を考えるうえで、autophagic cell death誘導の分子機構を明らかにすることは極めて重要である。我々はこれまでにRasの活性化がグリオーマ細胞におけるautophagic cell deathの誘導に重要な役割を果たしていることを見い出している。そこでRas活性化によりグリオーマ細胞に誘導されるautophagic cell deathのin vitroモデルを用いてautophagic cell deathの制御に関わる分子の探索を行った。その結果、c-Jun N-terminal kinase(JNK)がRas依存的autophagic cell deathの制御に関与している可能性が示唆された。すなわち、Ras活性化によりグリオーマ細胞にautophagic cell deathが誘導される過程で、細胞死に先行してJNKの活性化がおきていることが確認された。また、細胞死誘導能を持たない不活性型RasがJNKを活性化しないことも確認された。次いでこのようなRas依存的なJNKの活性化がRasによるautophagic cell deathに必要か否かを明らかにするためJNKの特異的阻害薬を用いて検討を行ったところ、Rasによる細胞死誘導がJNKの活性抑制の程度と平行する形で抑制されることが明らかになった。これらの所見はJNKがRas依存的autophagic cell deathの細胞死シグナル伝達において重要な役割を果たしていることを示唆するものでありJNKがautophagic cell deathを介する細胞殺傷に対する感受性を規定する遺伝子である可能性が考えられた。
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