2007 Fiscal Year Annual Research Report
大脳基底核・視床における虚血性脳障害後の神経再生誘導
Project/Area Number |
18390390
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川原 信隆 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 准教授 (60214673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
籾山 俊彦 東京大学, 生理学研究所, 准教授 (20230055)
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Keywords | 脳虚血 / 神経細胞死 / 神経再生 / 線条体 |
Research Abstract |
線条体における脳虚血後の内在性神経幹細胞からの神経再生は,成長因子の虚血後投与(3日間)によって15%の再生が得られること,またそれらの再生神経細胞は前脳室下帯に存在する神経前駆細胞に由来すること,昨年までに示した。本年度は,それらの再生細胞が線条体固有の神経表現型を示すか否かを検討したところ,免疫組織化学的にはDARRP-32陽性の投射神経細胞に多くが分化していることが確認された。さらにChAT,NPY,PARV等の介在神経細胞にも分化していることも判明し,すべての線条体固有の神経細胞への分化が示された。これらは,虚血後6-12週の間でも安定的に存在し,長期的神経再生の効果が示された。電気生理学的にも膜特性の成熟過程が示されていたが,これらは形態学的成熟より遅れ,20週以降に神経シナプス結合を形成し,成体神経細胞と同等の膜特性を獲得することも判明した。これらは,線条体での神経再生が長期的にも有効であることを示唆している。 本年度は,さらに神経前駆細胞からの増殖,分化過程へのNotch情報伝達系の影響について検討した。海馬の神経再生モデルで検討したところ,Notch受容体刺激では成長因子投与を上回る増殖能の亢進は得られなかった。しかし,亜急性期のNotch受容体阻害にて神経幹細胞から神経細胞への分化促進効果が認められ,内在性神経再生療法への応用が可能であることを示すことができた。 前年度から継続している霊長類全脳虚血モデルでは,様々な努力を続けたが虚血時間と神経細胞死との相関関係が得られず,定量的モデルを開発することができなかった。これは供給された個体間の体重,年齢の統一が得られなかったこと等が問題点であると考えられたが,当面は本実験系を凍結する最終判断を行った。
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Research Products
(6 results)