2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390392
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山嶋 哲盛 Kanazawa University, 医学系, 准教授 (60135077)
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Keywords | サル / 海馬 / ニューロン新生 / 多価不飽和脂肪酸 / ドコサヘキサエン酸 / アラキドン酸 / GPR40 / 歯状回 |
Research Abstract |
ドコサヘキサエン酸(DHA)やアラキドン酸などの多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid: PUFA)は、脳の発達や機能維持のために重要な役割を果たしているが、その作用メカニズムは十分に解明されてはいない。PUFAには細胞膜のリニューアル以外にも何らかの機能があるに相違ないと考え、膵臓におけるインスリン分泌と2型糖尿病の発症に関わるオーファン受容体の一つであるGPR40に着目し、解析を行った。 ヒトのGPR40蛋白に対するポリクローナル抗体を作成し、ウエスタンブロットと免疫組織化学による検索を行うと、GPR40はニホンザルの中枢神経ニューロンに広範に発現していることがわかった。このことはPUFAが細胞膜の構成単位であるのみならず、GPR40受容体を通して細胞外シグナル伝達分子として作用していることを示唆している。ちなみに、PC12細胞にgpr40遺伝子を導入し、ArgusカメラでCa^<2+>イメージングを行うと、微量のDHAに対して野生型の細胞は無反応であるのに対して、gpr40導入細胞はCa^<2+>動員を示した。 そこで、正常および脳虚血サルを用いて、成体脳でもニューロン新生がみられる海馬におけるGPR40の発現について研究した。海馬切片を免疫蛍光染色し共焦点顕微鏡で観察したところ、歯状回SGZの新生ニューロンをはじめ、神経幹細胞および血管内皮細胞、アストロサイトがGPR40を発現していた。しかも、ウェスタンブロットでは、GPR40蛋白の発現量は虚血負荷後漸増し、ニューロン新生がピークとなる虚血第2週目に最大となった。 以上より、PUFAはGPR40を介して情報伝達を行うことによりニューロン新生を制御しているものと推定された。
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Research Products
(6 results)