Research Abstract |
本年度腫瘍内浸潤単核食細胞系(mononuclear phagocytic system : MPS)の分化と特徴を解析し,どのようにすれば,腫瘍内浸潤樹状細胞を効率よく単離できるか検討した。 MPSは,広義で樹状細胞(DC)とアクロファージに分けられ, 樹状細胞はコンベンショナルDCと形質細胞様DC, マクロファージは浸潤型マクロファージと常在型マクロファージ, にそれぞれ分けられる。我々の系では,コンベンショナルDCは非常に少なく,回収した形質細胞様DCも,予想通りあまり強く活性化分子(例えばCD80やCD86)を発現しておらず,未熟な樹状細胞であった。また,樹状細胞を単離するにあたり,当初の予測どおり,マクロファージの除去が不可欠であったが,除去によって得られた腫瘍内浸潤マクロファージ有効に用いることで業績に挙げた結果を得た。つまり, (1)脳接種腫瘍内浸潤マクロファージ(TAM)は,膠細胞腫瘍GL261をTAM表面の細胞表面型TNFを介して殺傷している可能性が高い。 (2)単離したCD11b陽性細胞は浸潤型と常在型のマクロファージを含むため,さらに解析したところ,大半が浸潤型のマクロファージであった。 (3)また,単離したTAMは接種したGL261や大腸癌細胞株MCA38の接種臓器による差異は少なく,むしろ腫瘍の種類そのものにより,強く分化が影響される。 以上の結果から,腫瘍内浸潤マクロファージは由来は単球由来で臓器による差異は無いものの,その臓器特異性が少なからず存在する可能性が示唆された。この結果を参考にして腫瘍内浸潤樹状細胞の臓器特異性を現在検討中であるが,幸いにも緑の蛍光を発するGreen fluorescence Protein(GFP)マウスが手に入ったため,それらも駆使して,腫瘍内浸潤未熟樹状細胞が臓器特異的に分化したり,遊走する可能性があるかさらに次年度以降検討する予定である。
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