2007 Fiscal Year Annual Research Report
膠細胞腫瘍内浸潤樹状細胞の脳特異的分化・成熟機序の解明
Project/Area Number |
18390393
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
齊尾 征直 Gifu University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40242721)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 剛 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70136943)
大江 直行 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60362159)
|
Keywords | 腫瘍内浸潤樹状細胞 / 腫瘍内浸潤マクロファージ |
Research Abstract |
本年度は引き続き腫瘍内浸潤単核食細胞系(mononuclear phagocytic system: MPS)の分化と特徴を解析し,今まで言われてきたことが正しいのか検討した。 MPSは,広義で樹状細胞(DC)とマクロファージに分けられるが,近年骨髄由来抑制細胞(Myeloid derived suppressor cells: MDSC)という概念も注目され,MDSCの中の単球由来分画は一部マクロファージへ分化すると言われている。我々は,腫瘍内のMPCの分類を見直す中で,以下のことを見出した。 1) 樹状細胞は通常型DC(cDC)と形質細胞様DC(pDC)に分けられるが,そのいずれもほとんど存在しない。他方,腫瘍内のMDSC,マクロファージ群は,樹状細胞のマーカー分子であるCD11cを多数発現し(皮下,脳内いずれもほぼ同様),マクロファージ系のマーカーであるF4/80も発現していた。 2) 上記のMDSC,マクロファージ群は,培養すると紡錘形から類円形を呈し,強い接着性とNitric Oxide(NO)の産生やArginase Iの産生を認めた。つまり樹状細胞のマーカーをMDSC-マクロファージ系細胞も発現すると分かった。 3) 他方pDCに発現していると言われるPDCA-1も上述のMDSC-マクロファージ系は発現しており,今まで報告されてきたPDCA-1を用いた腫瘍内の樹状細胞の実験は実はMDSC-マクロファージ系なのではないかと思わせる。 マクロファージには従来より,二面性があり免疫抑制性の性格(MDSCの機能)と,TNFを介した抗腫瘍活性(昨年度に報告)や,抗原提示能などがある。もしかすると,腫瘍内浸潤樹状細胞と報告された細胞のうちいくつかは腫瘍内浸潤単球-マクロファージ系の細胞の持つ抗原提示能をみていたのではないかと推察された。本結果は本年5月発刊の米国白血球細胞学会誌にMDSC-マクロファージ系の部分が掲載予定であり,さらに2008年4月の米国癌学会に樹状細胞としての項目を報告予定である。
|
Research Products
(2 results)