2007 Fiscal Year Annual Research Report
力学的環境変化により生じる膝蓋腱マトリクス改変現象の人為的制御に関する統合的研究
Project/Area Number |
18390406
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
遠山 晴一 Hokkaido University, 大学病院, 准教授 (60301884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 和則 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
小野寺 伸 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (00359481)
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Keywords | 膝蓋腱 / 力学的特性 / 生体医工学 / 除負荷 / IL-1β / バイオメカニクス |
Research Abstract |
1.目的 力学的負荷の減少により腱組織に生じるマトリクス改変現象の発生機序を解明し、力学的環境変化が腱組織にもたらす本現象を人為的に制御する手法を開発するため、IL-1 receptor antagonist(IL-1ra)の投与が除負荷による膝蓋腱の力学的特性に与える効果を検討した。 2.材料および方法 日本白色家兎の右膝蓋腱に対し除負荷手法を加えた後,IL-1ra群では5-μg IL-1ra PBS0.2mlを,PBS群ではPBS0.2mlのみを膝蓋腱周囲に投与した。術3週で力学的検討を行なった。 3.結果 IL-1ra群およびPBS群における弾性率は平均それぞれ169MPaおよび97MPaであり,IL-1ra群はPBS群より有意に高値を示した(p=0.016)。また、引張強度はIL-1ra群6.7MPaおよびPBS群3.9MPaとIL-1ra群はPBS群より有意に高値であった(p=0.006)。破断時ひずみに関しては両群間に有意の差を認めなかった(p=0.227)。 4.結論 本研究では外因性IL-1raの局所投与は除負荷膝蓋腱の弾性率および引張強度を有意に増加させた。研究者らは除負荷が膝蓋腱に存在する線維芽細胞におけるIL-1beta発現を亢進させることを報告した。したがって,外因性IL-1raの局所投与が除負荷により膝蓋腱線維芽細胞から分泌されたIL-1betaに拮抗し,その結果,膝蓋腱の力学的特性の低下を抑止したことが示唆された。したがって、本結果は廃用による腱組織の力学的劣化に対する治療戦略に有用な情報をもたらすものと考えられた。
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Research Products
(9 results)