2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨吸収抑制剤の開発を目指した破骨細胞形成機構の解明
Project/Area Number |
18390409
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 純一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70176428)
|
Keywords | シグナル伝達 / 発生・分化 / 骨代謝 / 創薬 |
Research Abstract |
これまでにヒトCD40の細胞外領域および膜貫通領域にマウスRANKの細胞質領域を融合させたキメラ受容体(h40/mRK)による破骨細胞形成実験系を確立し、それを用いた実験結果から、RANKの細胞質領域の特定部位にTRAF6シグナルを増強する因子が作用するか、その特定部位が直接TRAF6シグナルを増幅するという仮説を提唱した。さらに前年度は、種々の欠損変異を導入したキメラ受容体の機能解析を行い、TRAF6結合配列以外の種間で強く保存された特定領域を欠損させると刺激依存的なNFkBやMAPKの活性化が正常に起こるにもかかわらず、破骨細胞も形成されないこと、またこの特定領域をCD40の細胞質領域に融合させると破骨細胞の形成能を獲得することが明らかにした。今年度はこの特定領域がシグナルに及ぼす影響を解析した。RANKシグナルでは、TRAF6を介したシグナルがITAMモチーフを持つ膜受容体に作用することによりPLCγのリン酸化やCa2+濃度の変化が起こりNFATが活性化されると考えられている。特定領域を欠失した受容体では、そのPL、Cγのリン酸化やNFATの発現が一過性であるのに対して野生型キメラ受容体や特定領域を付加したCD40では、それらのシグナルが持続的に維持されることを見出した。RANK刺激後、破骨細胞形成までに3〜4日かかることを考えるとシグナルの持続性が必須であり、それを担う領域を同定した本研究の意義は大きい。この特定領域を標的とした破骨細胞形成阻害薬が開発されれば、副作用が少ないことが想定され、骨粗鬆症やリウマチの治療薬として期待できる。
|
Research Products
(6 results)