2008 Fiscal Year Annual Research Report
がん・肉腫幹細胞を標的とした新規治療法の開発-治療抵抗性肉腫の克服を目指して
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18390419
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小宮 節郎 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30178371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横内 雅博 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80359976)
瀬戸口 啓夫 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (40423727)
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Keywords | 骨軟部肉腫 / sarcoma-initiating cells |
Research Abstract |
今回は新たに骨軟部悪性腫瘍細胞株中に肉腫幹細胞様の性質を持つ細胞集団を発見し、その維持・増殖に関与する因子の検討を行った。【方法】骨肉腫細胞株及び軟部肉腫細胞株を2つの細胞集団、抗原X陽性細胞と抗原X陰性細胞に分離してヌードマウスに移植し、悪性腫瘍形成能を検討した。さらに移植後腫瘍形成部より再度細胞を培養し、二次腫瘍形成能力を検討した。また無血清培地で培養しつつ肉腫幹細胞の維持・増殖に関与する因子を検討した。さらに患者腫瘍生検組織における抗原Xの発現を検討した。【結果】抗原Xを用いて分離した細胞をヌードマウスに移植して腫瘍形成能力を比較検討したところ陽性細胞は陰性細胞と比較して有意に腫瘍形成能力が高かった。さらに陽性細胞では一個の細胞を移植した場合でも6匹中2匹のヌードマウスで腫瘍形成が認められた。一方で一個の陰性細胞移植では腫瘍形成は認められなかった。また陽性細胞から形成された腫瘍の一部を別のヌードマウスに移植したところ6匹中6匹で腫瘍形成を認めたが、陰性細胞から形成された腫瘍を移植した群では腫瘍形成は認められなかった。Real-time PCRを用いた解析で陽性細胞では陰性細胞と比較して未分化マーカー遺伝子の発現が有意に高く、分化マーカーの発現が低かった。この細胞株は無血清培地では増殖しないがbFGFを添加することで抗原X陽性細胞は維持されまたその割合も増加した。一方でCNTFを添加すると陽性細胞の比率が減少した。肉腫患者組織では正常組織と比較して抗原Xの発現が亢進していた。【考察】この手法はがん幹細胞をターゲットとした骨軟部悪性腫瘍治療法の開発に有用であると考えられる。
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