2007 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロトロフィン受容体p75のシグナル制御による脊髄損傷修復
Project/Area Number |
18390420
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
古川 昭栄 Gifu Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (90159129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福光 秀文 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (00308280)
野元 裕 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (80164747)
古川 美子 松山大学, 薬学部, 教授 (20219108)
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Keywords | p75NTR / ニューロトロフィン受容体 / 脊髄損傷 / アポトーシス / 遺伝子改変動物 / 運動機能回復 / NGF / BDNF |
Research Abstract |
1 p75NTRを介するアポトーシス誘導作用の評価系 ラットPC12細胞にp75NTRの高親和性リガンドであるProNGFを添加しても細胞死は8%程度であったがBDNFでは15%もの細胞死が誘導された。従ってPC12細胞を用いた評価系ではアポトーシス誘導リガンドとしてBDNFまたはProBDNFが適していると考えられた。 2 p75NTRによる負のシグナルを抑制するペプチドの活性評価 a)RhoGDIとp75の結合を阻害するペプチド及び、b)ソーチリンとプロBDNFの結合を阻害するペプチドを脊髄半切断ラットの患部に直接投与して調べたが運動機能の回復に及ぼす効果は認めなかった。脊髄損傷患部には多くのタンパク質分解酵素が誘導されており、ペプチドが分解されやすいこと、分子間阻害活性が弱いことなどの理由が考えられた。 3 p75NTR遺伝子改変動物における脊髄損傷修復 p75NTRの働きは神経再生に不利益なのか確かめるため、p75NTR-遺伝子KOマウスと野生型マウスの半切断脊髄損傷後の運動機能の回復を比較した。手術8日後まではKOマウスの方が高い運動機能回復を示したがその後は差が認められなかった。この結果より、損傷修復初期にp75NTRが修復を妨げることが判明した。 4 発現調節型p75NTRトランスジェニックマウス(Tg)の開発 loxp遺伝子間に停止コドンを配置し、下流にp75NTR遺伝子を連結したベクターを構築し、理化学研発生・再生科学総合研究センターに委託してTgマウスを作製した。約30%の個体にDNAが導入されたが、loxp間の停止コドンを除去しない限りp75NTR遺伝子は発現しないので、個体の維持が容易である。部位特異的にCre酵素遺伝子を発現するTgマウスと交配すると部位特異的にp75NTR発現を促進でき、今後のp75NTR研究の有用な武器となる。
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