2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成制御の細胞内シグナル伝達系におけるクロストークの解明と骨再生への応用
Project/Area Number |
18390421
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小池 達也 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (50271177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇谷 滋之 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (70243243)
高岡 邦夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30112048)
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Keywords | 副甲状腺ホルモン / 骨形成因子 / cAMP / 骨芽細胞様細胞 |
Research Abstract |
【目的】副甲状腺ホルモン(PTH)を間歇投与することにより、実地臨床においても骨量が増加することは広く知られているが、その詳細な作用機序は未だ不明な点が多い。しかし、その主なメカニズムの一つとして、cAMP/PKA系の関わりが重要視されている。以前より、我々はcAMP/PKA系による骨形成因子(BMP)シグナルの増強に注目してきた。本研究の目的は、PTHによる骨芽細胞分化作用のcAMP/PKA系からのBMPシグナルへの関与の有無およびその作用機序について検索することである。 【方法】細胞は細胞株MC3T3E1を用いた。ヒトリコンビナントBMP2(50ng/ml),ヒトPTH(1-34)単回投与(以下PTHs)(10-7Mを1回投与)、もしくは連続投与(以下PTHc)(10-8Mを3分おきに10回投与)を単独および共投与した後、経時的にcAMP濃度を測定した。転写調節レベルにおけるPTHのBMPシグナル伝達への効果は、BMP応答領域及びcAMP応答領域を含んだId-1プロモーターを用いたレポーターアッセイで評価した。リアルタイムRT-PCRにて骨分化マーカーとしてRunx2、ALP、およびBMPシグナル伝達への影響としてSmad6を調べた。ALP活性測定にて蛋白レベルでのPTHによるBMP骨分化促進作用を評価し、cAMP/PKA系の関与はPKA阻害薬およびPDE阻害薬を用いて検討した。【結果】PTHsにおいてcAMP濃度の上昇は5分と一時的なものであった。しかし、PTHcを行うとPTH投与中及び、投与終了後約2時間までcAMP濃度の上昇は維持していた。リポーターアッセイではPTHcにてBMP転写活性の有意な増強を認めた。また、リアルタイムRT-PCRでは、BMP単独投与と比較して、BMP・PTHc同時投与にて有意にRunx2、ALPのmRNAの発現亢進を認めた。また、抑制系SmadであるSmad6mRNAはBMP単独投与と比較してBMP+PTHsでも発現抑制を認めたが、BMP+PTHcにてさらに有意な発現抑制を認めた。ALP活性測定にても同様な結果を得た。また、この増強効果はPKA阻害薬にて抑制され、PDE阻害薬にて増強された。 【考察】細胞内cAMP濃度を高濃度に維持する投与法により、PTHはcAMP/PKA系を介してBMP骨芽細胞分化を促進することが判明した。
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Research Products
(9 results)