2006 Fiscal Year Annual Research Report
子宮体癌の新しい分子標的治療開発のためのp53変異とp63,p73の機能解析
Project/Area Number |
18390442
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
櫻木 範明 北海道大学, 大学院医学研究科, 教授 (70153963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡利 英道 北海道大学病院, 講師 (10344508)
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Keywords | 医学 / 悪性腫瘍 / 分子標的治療 / p53癌抑制遺伝子 / 子宮体がん |
Research Abstract |
p53がん抑制遺伝子のドミナントネガティブ変異は臨床的に子宮体癌の浸潤・転移に関わっており、この遺伝子変異を有する体癌患者の予後は変異の無い体癌患者に比して有意に不良である。このドミナントネガティブ作用を解明するために、野生型p53遺伝子を持つ子宮体癌細胞HHUA(wt細胞)にR273Hドミナントネガティブ変異p53遺伝子あるいはR213Qレセッシブ変異p53遺伝子を導入し、野生型p53とR273Hドミナントネガティブ変異p53を発現する細胞(273H細胞)および野生型p53とR213Qレセッシブ変異p53を発現する細胞(213Q細胞)を作成した。R273H変異p53は野生型p53によるp21, Bax, MDM2の発現を抑制した。R213Q変異p53にはこの作用を認めなかった。さらに、273H細胞においては213Q細胞やwt細胞と比べて、著明に浸潤能や遊走能が亢進しているのが認められ、これにはMaspin, PAI-1, KAI1 mRNA発現の低下が伴っていた。Adriamycinを用いて野生型p53の発現を誘導すると浸潤能・遊走能の抑制が認められた。これにはp53遺伝子の標的遺伝子の発現亢進を伴っており、その程度は213Q細胞とwt細胞において273H細胞よりも大きかった。R273Hをp53欠失細胞であるSK-OV3とSaos-2に導入しても浸潤能や遊走能に明らかな影響を及ぼさなかった。これらのことから、R273H変異によるHHUA細胞の浸潤能・遊走能はあらたな機能獲得(gain-of-function)によるものではなく、野生型p53に対するドミナントネガティブ作用によるものであると考えられる。 今後はHHUA細胞の野生型p53をknockdownしてR273H変異遺伝子を導入して検討すると共に、p53関連タンパクであるp63, p73などとの機能的関連を明らかにしたいと考えている。
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