2008 Fiscal Year Annual Research Report
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18390461
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
久 育男 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 教授 (50181087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 均 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (30360035)
島田 剛敏 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (30275226)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症(ALS) / TAR DNA binding protein43(TDP43) / 迷走神経背側核 / アセチルコリン基転移酵素 / 選択的スプライシング / 時計遺伝子 / 喉頭 / 喉頭腺分泌 |
Research Abstract |
(1)ラット脳幹運動神経細胞における軸索損傷時のTDP43の変化 TDP43はALSの病理マーカーとして注目されている。TDP43の核外脱出はALSの病理学的特徴であるが、その分子病態は不明である。軸索損傷下の延髄運動神経細胞における核輸送系の障害とTDP43の核局在との関係、神経再生との関連を検討した。軸索輸送障害でTDP43の核局在が障害され、この背景にTDP43の軸索内蓄積とImportin系を介した核細胞質輸送機能異常が関与する可能性が示された。TDP43の異所性局在は可逆性であり、それ自体がALSの運動ニューロン死の原因ではなく、他の何らかの機序の関与が推察された。 (2)ラット迷走神経背側核における軸索切断によるコリンアセチル基転移酵素の選択的スプライシングの変化 末梢型コリンアセチル基転移酵素(pChAT)は、従来のChAT(cChAT)のスプライスバリアントで、主に末梢のコリン神経に発現する。本研究では、迷走神経切断後、迷走神経背側核にpChATが発現することを見出した。非手術対照群の迷走神経背側核では、cChAT陽性の神経細胞が認められたが、pChAT陽性細胞は認めなかった。迷走神経切断後7目目にcChAT陽性細胞はほとんど消失したが、多数のpChAT陽性細胞が出現した。切断後28日目には、cChAT陽性神経細胞数は再び増加したが、pChAT陽性細胞数は減少した。こうした変化は、pChATが軸索切断後の神経変性の病態に関与していることを示唆している。 (3)マウス喉頭における時計遺伝子の発現 喉頭における時計遺伝子の発現と、喉頭腺での粘液分泌のリズム発現について検討した。wild-typeマウス、mCry1-/-mCry2-/-ミュータントマウスおよび視交叉上核破壊マウスを用い、免疫組織化学法、Northern blot法にてPer1、Per2、MUC5bの発現について解析した。喉頭粘膜、喉頭腺上皮細胞核にPER1、PER2タンパクの時間特異的な発現を認めた。MUC5bタンパクの発現にも概日リズムを認め、喉頭腺分泌は、喉頭の時計遺伝子Per1、Per2によって制御されている可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)