2008 Fiscal Year Annual Research Report
培養ヒト角膜内皮および実質細胞を用いた角膜再生医療の実用化
Project/Area Number |
18390464
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天野 史郎 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 准教授 (80193027)
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Keywords | 角膜 / 再生医療 / 角膜内皮細胞 / 角膜実質細胞 |
Research Abstract |
平成20年度においては以下のような研究実績を上げることができた。臨床における角膜内皮移植として広まりつつあるDescemet's stripping automated keratoplasty(DSAEK)の手法を用いた培養ヒト角膜内皮細胞移植の有効性を検討した。研究用輸入ヒト強角膜片から、人工前房装置を用いて厚さ120〜150μm、直径8mmの角膜実質片を作製した。この実質片上に培養HCECを播種した上でさらに4週間の培養を行って培養DSAEKグラフトを作製し、組織学的、免疫組織化学的検討を行った。次に人工前房装置を用いてなるべく実際の手術に近い形でグラフトを挿入し、内皮細胞脱落の程度を評価した。この際挿入法はTaco-folding法(折りたたみ法)、Businglide法、Lens glide法(引き込み法)の3つを用いた。また兎眼でDSAEKを行い術後1ヵ月間観察した。結果としては、培養DSAEKグラフトは培養中に浮腫でやや厚みを増したものの実質の層構造は保たれ、培養HCECは単層の細胞層を形成するとともに細胞間接着装置の存在も見られた。挿入法の比較では、内皮脱落面積が折りたたみ法の平均38.7%に対し、引き込み法では平均11,6%、18.0%と有意に小さかった。兎眼では、術後1カ月の段階でゴントロールと比較して、培養HCEC群では角膜厚が薄く、透明性が保たれた。これらの結果より、培養DSAEKグラフトは有効な方法であり、臨床応用が可能であると考えられた。 また、ニューロスフェア法を用いて分離したウサギ角膜実質前駆細胞をゼラチン上に播種し、細胞外基質の産生能を検討したところ、通常の角膜実質細胞と比較してより多くの細胞外基質が産生されることがわかり、ニューロスフェア法により分離される角膜実質前駆細胞の有効性が示された。
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Research Products
(3 results)