2007 Fiscal Year Annual Research Report
発達・加齢・遺伝性網脈絡膜疾患の病態解明と新しい治療
Project/Area Number |
18390466
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寺崎 浩子 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (40207478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 誠 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60283438)
近藤 峰生 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80303642)
伊藤 逸毅 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特任准教授 (10313991)
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Keywords | 加齢黄斑変性 / 遺伝子多型 / 遺伝子改変家兎 / 網膜変性 / 網膜色素変性 |
Research Abstract |
網脈絡膜疾患の病態解明と治療法の開発を目的とした研究を18年度に引き続き行った。加齢黄斑変性については、HTRA1プロモーターおよびLOC387715領域の一塩基多型(各々rs11200638、rs10490924)が、加齢黄斑変性(AMD)の発症およびポリープ状脈絡膜血管症(PCV)の発症と関連があることを確認した。これらの多型のリスクアレルを持つ場合には、血清C反応性蛋白(CRP)濃度の上昇がみられ、これらの多型はAMDの病態に関与すると考えられる炎症に関係があることが示唆された(投稿準備中)。加齢黄斑変性各種治療法の形態・機能的評価では、光線力学療法はレーザーによる治療早期の網膜機能障害が知られているが(IOVS,2007)、ステロイド併用光線力学療法では網膜機能障害を軽減することができることを確認した(投稿準備中)。さらに抗VEGF抗体の硝子体注射では黄斑部網膜機能障害はなく、機能の改善がみられることも確認された(投稿準備中)。 動物実験では、網膜変性モデルマウスに発生させた網膜剥離が、変性による網膜神経細胞死を抑制することから、神経網膜-網膜色素上皮の接着を介する相互作用(IOVS,2008)、末梢血中の単球・マクロファージの網膜内遊走と活性化(投稿中)が、神経網膜の変性、保護に深くかかわる可能性を見出した。独自に開発中の網膜色素変性症の中型動物モデルであるウサギにロドプシン遺伝子変異(Pro347Leu)を導入したトランスジェニックウサギの作成に世界で初めて成功し、進行性の網膜変性を組織学的検査と電気生理学的検査によって確認した(投稿準備中)。 重症未熟児網膜症に対する抗血管新生薬bevacizumab硝子体注入が前房水中の高濃度のVEGF濃度を著しく低下させたことから、極めて活動性の高い未熟児網膜症への治療の道が開かれる可能性を示した(ARVO,2008)。
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