2008 Fiscal Year Annual Research Report
血液細胞-血管内皮相互反応制御による網脈絡膜疾患の病態解明と新治療法の開発
Project/Area Number |
18390467
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 和明 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (90359810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 篤史 京都大学, 医学研究科, 助教 (30314222)
辻川 明孝 京都大学, 医学研究科, 助教 (40402846)
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Keywords | 白血球-血管内皮相互反応 / 網膜循環 / エンドトキシン誘発ぶどう膜炎 / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / 網膜静脈閉塞症 / 黄斑浮腫 / 3次元光干渉断層計 / 網膜層構造 |
Research Abstract |
iNOSノックアウトマウスを用いて、眼炎症モデルであるエンドトキシン誘発ぶどう膜炎(Endotoxin-induced uveitis; EIU)の病態形成過程におけるiNOSの果たす役割について、白血球-血管内皮相互反応の観点から検討した。EIU発症の急性期には、網膜主幹動静脈の拡張、白血球が血管内皮細胞上を転がるローリング現象や白血球の血管内皮への強固な接着、白血球の血管外への遊走など、ダイナミックな白血球-血管内皮相互反応が生じるが、iNOSノックアウトマウス群では、対照マウス群に比べて、白血球のローリング現象は最大98.2%、遊走白血球数は最大74.0%の有意な抑制がみられた。また、iNOSノックアウトマウス群において主要網膜静脈径の拡張が対照マウス群に比べて有意に減弱していた。以上から、iNOSノックアウトマウスでは、EIUの網膜循環において白血球-血管内皮相互反応が著明に減弱し、網膜の血管拡張も抑制されることが分かった。このことからiNOSは、眼炎症に対して促進的に働き、その病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。 網膜循環障害である網膜静脈閉塞症(Retinal vein occlusion; RVO)は、黄斑部に浮腫を生じることによって重篤な視機能障害をもたらす疾患である。この黄斑浮腫の形態と網膜層構造の変化が、RVOの視機能予後にどのような影響をもたらすかについて、3次元光干渉断層計(Three-dimensional optical coherence tomography; 3D-OCT)を用いて検討した。3D-OCTを用いると、従来の方法では十分に描出できなかった網膜層構造を、高解像度で詳細に観察することが可能であった。外境界膜と視細胞層の層構造と視力について検討した結果、外境界膜及び視細胞層の層構造が保たれていることと視力との間には正の相関がみられた。これにより、RVO発症後の視力改善に網膜層構造の保持が重要であることが示唆された。
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