2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫における倍数性・異数性染色体異常の発生機構の解明
Project/Area Number |
18390475
|
Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
金子 安比古 Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center, 臨床腫瘍研究所, 所長 (50373387)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春田 雅之 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 研究員 (80392190)
笠井 文生 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 研究員 (60393055)
|
Keywords | 神経芽腫 / 倍数性・異数性染色体異常 / 3倍体腫瘍 / 2倍体腫瘍 / 中心体異常 / 3極分裂 / MYCN増幅 / 細胞質不分離 |
Research Abstract |
神経芽腫は乳児に発生する予後良好な3倍体(3n)腫瘍と年長児の予後不良な2倍体(2n)腫瘍に大別される。3n腫瘍の発生機構を知るために、薬剤で2n細胞から4n細胞を形成する実験を試みた。しかし、細胞が死んでしまうので、この方法による研究を中止した。染色体数が変化する要因の1つとして、体細胞分裂時に重要な役割をもつ中心体の異常が知られている。腫瘍細胞では、染色体数が変化していることが多く、それに伴い中心体の増加が観察されている。神経芽腫の染色体異常と中心体異常の関連を解析した。 腫瘍組織27例を解析した結果、中心体増加は3n腫瘍ではなく、2n腫瘍において検出された。2n腫瘍は予後良好群と不良群に分類され、年長児では2n細胞のみで構成されるが、乳児では多数の2n細胞の他に少数の3n細胞と4n細胞が含まれていた。乳児と年長児の2n腫瘍に共通して中心体が増加していたが、倍数性細胞の構成には相違があり、中心体異常の発生機構は異なると考えられた。神経芽腫においてMYCN増幅と中心体増加の相関が報告されているが、両者に相関はみられず、MYCN増幅は中心体増加を誘導しないという所見を得た。 一方、3n腫瘍では中心体異常は検出されなかった。3n細胞は4n細胞を経て形成されるという仮説を踏まえると、3極分裂によって形成される3n細胞の中心体数は正常であることを示している。4n細胞形成時は細胞質不分離により中心体数が増加するが、3倍体細胞は2極分裂をしているものと考えられる。 3倍体細胞の発生に必要な3極分裂が神経芽腫で生じているかどうかを検証するために、神経芽腫細胞株TGWに、ヒストンGFPを導入して細胞分裂の様子を調べた。タイムラプス顕微鏡による経時的な観察により3極分裂を確認するとともに、3極分裂により3つの娘細胞が形成される所見を得た。神経芽腫由来の他2細胞株においても3極分裂が見られ、神経芽腫細胞は3極分裂を生じるポテンシャルをもつと考えられた。3n細胞は4n細胞を経て3極分裂により形成されるという仮説が支持された。
|
-
[Journal Article] Centrosome amplification is correlated with ploidy divergence, but not with MYCN amplification in neuroblastoma tumors2009
Author(s)
Fukushi D, Watanabe N, Kasai F, Haruta M, Kikuchi A, Kikuta A, Kato K, Nakadate H, Tsunematsu Y, Kaneko Y
-
Journal Title
Cancer Genet Cytogenet 188
Pages: 32-41
-
[Journal Article] Novel risk stratification of patients with neuroblastoma by genomic signature, which is independent of molecular signature2008
Author(s)
Tomioka N, Oba S, Ohira M, Misra A, Fridlyand J, Ishii S, Nakamura Y, Isogai E, Hirata T, Yoshida Y, Todo S, Kaneko Y, Albertson DG, Pinkel D, Feuerstein BG, Nakagawara A
-
Journal Title
Oncogene 27
Pages: 441-149
Peer Reviewed
-
-