2008 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成遺伝子導入による悪性黒色腫の新たな治療法の開発に向けて
Project/Area Number |
18390476
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 有平 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 教授 (70271674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守内 哲也 北海道大学, 遺伝子制御研究所, 教授 (20174394)
古川 洋志 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00399924)
関堂 充 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40372255)
堤田 新 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00374489)
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Keywords | 悪性黒色腫 / 形態形成遺伝子 / 遺伝子導入 / PAX9 |
Research Abstract |
ホメオボックス遺伝子の一つであるPAX遺伝子は、遺伝病の原因遺伝子として論じられることが多かったが、近年では、癌の発生との関連も報告されている。われわれは、悪性黒色腫と色素性母斑の臨床検体、悪性黒色腫細胞株における遺伝子網羅的解析から、PAX4およびPAX9遺伝子が癌抑制遺伝子としての機能を有する可能性を示してきた。そして、今後、遺伝子工学の応用により、悪性黒色腫に対する新たな治療法の開発につながるのではないかと考えた。 われわれはまず、ハイグロマイシン耐性遺伝子をもつ動物発現ベクターに、PAX9遺伝子を組み込み、PAX9遺伝子発現ベクターを作成した。ヒト悪性黒色腫細胞株の中では、C8161におけるPAX9遺伝子の発現が非常に弱いことを確認しており、遺伝子導入細胞としてこの細胞株を選択し、リポフェクション法によりPAX9遺伝子発現ベクターを導入した。ハイグロマイシンを添加した培養液において細胞培養を行い、PAX9遺伝子発現ベクター導入細胞、および対照となる空ベクター導入細胞を得ることができた。これらの細胞を用いてRT-PCRを行い、PAX9遺伝子導入細胞においてmRNAレベルにおいてPAX9が発現していることを確認した。 しかしながら、MTT assayではPAX9導入細胞よりも、空ベクター導入細胞の増殖能が高く、期待された結果は得られなかった。また臨床検体による免疫組織染色では、悪性黒色腫、色素性母斑、非癌部健常皮膚との間でPAX9の染色形態に明らかな違いを見出すことはできなかった。 本研究は、ある種のPAX9遺伝子が、癌細胞の増殖を抑制する機能を有するのではないかとの仮説に基づき計画、実行されたが、今回の結果からは、PAX9遺伝子単独の機能では、悪性黒色腫細胞の増殖抑制に寄与しない可能性が示唆された。
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