2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規機能性素材の敗血症治療への応用:新規治療概念の確立
Project/Area Number |
18390481
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
阿邉山 和浩 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 特任准教授 (30284897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
安部 淳一 鹿児島大学, 農学部, 教授 (80128404)
伊東 祐二 鹿児島大学, 工学部, 准教授 (60223195)
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Keywords | 1,5-AF / APP / HMGBI / 敗血症・多臓器不全 / 嫌気 / 炎症 |
Research Abstract |
今年度の研究において、新規機能性単糖1,5-D-アンヒドロフルクトース(1,5-AF)と種々の1,5-AFからの副生成物生成(1,5-AFの誘導体)の可能性とそれぞれの生体への影響について検討を行った。(1)1,5-AFを高温加熱(100℃、60分間)、酸(pH3.0、30分間)あるいは、アルカリ処理(pH10.0、30分間)等の処理では、1,5-AFは安定であった(しかしながら、1,5-AFを高圧でより高温の処理を加えることにより、1,5-AF誘導体APP生成が確認された。)。1,5-AF及び上記それぞれの処理を加えたサンプルは、培養細胞レベル(最大5mg/m1まで)、動物個体レベル(最大1000mg/kg/day、30日間、腹腔内投与法)において毒性を示唆する所見は確認されなかった。(2)マウス担癌モデル(末期癌あるいは悪液質モデル)、重症敗血症モデルの実験系において、1,5-AFを最終濃度1000mg/kg/日になるように腹腔内投与を継続することで、生存を延長させる傾向に作用することが判明した。また、関節炎モデルにおける治療効果も確認できた。(3)1,5-AFの抗炎症作用には、炎症性転写調節因子NF-kBに対する抑制作用とHMGB1の核から細胞質への移行と分泌の低減作用という2つの作用が強く関係していることが明らかになった。(4)嫌気状態での細胞からのHMGB1分泌においては、活性化マクロファージにみられるような蛋白のアセチル化は関与しないことも明らかになった。(5)1,5-AFの薬理学的作用について、網羅的遺伝子解析結果からの予測では、抗炎症作用と糖・脂質代謝制御作用が上位を占めていた。以上、1,5-AFの創薬シーズ(新規抗炎症剤)としての可能性が確認された。
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