2008 Fiscal Year Annual Research Report
急性期脊髄損傷に対する培養自家骨髄間質細胞移植による脊髄再生治療
Project/Area Number |
18390482
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中谷 壽男 Kansai Medical University, 医学部, 教授 (70188978)
|
Keywords | 移植・再生医療 / 再生医学 / 脊髄再生 / 脊髄損傷 / 脳・神経 / 骨髄間質細胞 |
Research Abstract |
本臨床試験の概略は、急性期脊髄損傷患者のうち適用条件に合致した症例に対し、脊椎固定手術にて補強のために腸骨を採取した際に併せて採取した骨髄海綿骨から受傷72時間以内に間質細胞の分離培養を開始し、所定の数量に増殖せしめた培養自家骨髄間質細胞を、腰椎穿刺の手技にて髄液中に移植することによって脊髄再生を図る世界初の臨床試験である。今年度に新たに適応となった患者は一例(移植第二症例)のみであったが、第I-II相臨床試験として、その安全性と効果を第一症例と併せて検討した。 第I相試験として明らかにしたいことは、髄注後の自家骨髄間質細胞が、患者に対して注入後に副作用を生じないこと、異常な増殖を来さないこと、石灰化などを生じ無いことを追跡調査する。 第一症例は移植後すでに2年を経過し、機能改善は上肢が使えるようになり、予め定めた著効の範囲に入っている。今回の精査似ても、移植した骨髄細胞が異常増殖を示したり、石灰化が起きたりしている形跡は全く見られなかった。 第二症例は、ASIA分類ではBの患者であった。頸椎固定術後も、その後、骨髄間質細胞移植後も、麻痺症状の改善は全く認められていなかったが、移植後10日頃から、運動機能に回復が認められるようになった。 入院後の運動機能はC5以下の運動機能は全くなかったが、その後急速な改善を認め、半年後には自力歩行が可能となっており、移植後に始まった機能回復が驚くべき改善を示した。また、移植後の有害事象を全く認めず、半年後の精査によっても移植細胞による石灰化や異常増殖を認めていない。 症例数が少ないために、外部委員を交えての効果・安全性評価委員会においても、有効性の判断は差し控えているが、安全性に関しては、現時点では何ら問題が起きていない。今後さらに症例を積み重ねて、効果と安全性について検討する必要がある。
|
Research Products
(12 results)