2006 Fiscal Year Annual Research Report
口腔上皮の自然免疫系: 炎症・免疫応答抑制と抗菌作用増強
Project/Area Number |
18390484
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高田 春比古 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (30135743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 亜希子 東北大学, 大学院歯学研究科, 助手 (00431510)
船山 ひろみ 鶴見大学, 歯学部, 助手 (00359530)
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Keywords | Toll-like receptor (TLR) / NOD-1 / NOD-2 / 自然免疫 / ペプチドグリカン / PGRP / デフェンシン / 上皮細胞 |
Research Abstract |
侵襲微生物に特有の構造をパターン認識して生体防御に当たる自然免疫系が注目されている。本研究では口腔粘膜の自然免疫系にっいて検討して、次の様な知見を得た。口腔上皮細胞は細胞表層にToll-like receptor (TLR)2ならびに4、細胞内にNOD1ならびにNOD2を発現しているが、対応する合成リガンドで刺激しても炎症性サイトカイン産生を誘導しない。他方、抗菌因子である4種のペプチドグリカン(PGN)認識タンパク(PGRP-L,1α,1β,S)ならびにβ-2デイフェンシンは高レベルに産生する。これらの知見は常に細菌と接している上皮細胞は過剰な炎症・免疫応答を回避し、専ら抗菌因子を産生することを示唆している。ちなみに、これまでの報告では、NOD1を活性化するPGNの最小有効構造はmeso-diaminopimelic acid (meso-DAP)にD-glutamic acidが結合したiE-DAPとされてきたが、我々は化学合成した各種光学異性体を供試して、meso-DAPないし類縁の加meso-lanthionine単独でも口腔上皮細胞を始めとするヒト上皮系細胞のNOD1を活性化することを証明した。ちなみに、膜透過性を高める処理を施すと本来不応答の細胞もmeso-DAPに応答する。即ち、meso-DAP構造はNOD1活性化に充分で、D-Gluは細胞膜を通過するために必要と考えられる。他方、通常は微生物と遮断されている歯肉線維芽細胞はTLR1〜9、NOD1ならびにNOD2を発現して、対応するリガンド刺激に応じて炎症性サイトカインを産生する。 なお、ロ腔上皮細胞ならびに歯肉線維芽細胞がTLR4を発現するとの免疫染色の写真がJ Dent Res誌の表紙を飾った[85(6)ならびに86(3)]ことを特記しておく。
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[Journal Article] Toll-like receptors, NOD1, and NOD2 in oral epithelial cells.2006
Author(s)
Sugawara Y, Uehara A, Fujimoto Y, Kusumoto S, Fukase K, Shibata K, Sugawara S, Sasano T, Takada H
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Journal Title
Journal of Dental Research 85・6
Pages: 524-529
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