2007 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌細胞浸潤にともなう間質誘導のスイッチング機構の分子病理学的解析
Project/Area Number |
18390486
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
朔 敬 Niigata University, 医歯学系, 教授 (40145264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
程 くん 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40207460)
丸山 智 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30397161)
依田 浩子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (60293213)
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Keywords | 口腔癌細胞 / 浸潤 / 間質誘導 / スイッチング / 蛍光抗体法 / 細胞外基質 / レーザチャプチャー / RT-PCR |
Research Abstract |
前年度までの実験項をさらに繰り返し、発展させて細胞外基質(ECM)産生に関連する因子を特定する目的に以下の実験をおこなった。 (1)試験管レベルの検討:ヒト舌扁平上皮癌細胞、唾液腺腺様嚢胞癌細胞と口腔腫瘍由来線維芽細胞の直接ならびに間接接触の共培養実験系を改良して確立した。これをもちいて、レーザキャプチャー・マイクロディセクション法によって細胞群を選択的微小切り出し回収した。癌細胞と間質細胞とを分離してそれぞれ回収し、RNA抽出実験に供し、具体的にパールカンほかの細胞外基質分子の生合成状況をRT-PCRおよび蛍光抗体法で確認し、癌細胞における細胞外基質分子局在が低下して、線維芽細胞におけるそれが上昇するスイッチング現象を様々な条件下で確認した。 (2)組織レベルでの検討:二層性異型上皮ならびに上皮内癌さらに嚢胞性腫瘍を中心に上皮内間質形成段階と浸潤癌のそれぞれの病理組織標本をもちいて、各種ECM分子の発現状況を検討した。その結果、パールカンおよびテネイシンの上皮内沈着、これにともなう細胞膜受容体としては、インテグリンのほかにディストログリカンDGについての知見を深めた。すなわち、免疫組織化学とin-situハイブリダイゼーションによって上皮細胞におけるDGの発現がパールカンの受容体として細胞増殖に関連していることを確認した。さらに、上皮内ECM沈着が細胞膜接着因子カドヘリン、細胞膜裏打ち分子カテニン、それらの代謝制御因子MMP7ほかの挙動にも関連することが判明した。 以上の結果から、間質誘導の転換現象自体が確認されるとともに、上皮・間葉転換にも関連する重要な生命現象をとらえていることが示唆された。
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