2008 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌細胞浸潤にともなう間質誘導スイッチング機構の分子病理学的解析
Project/Area Number |
18390486
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
朔 敬 Niigata University, 医歯学系, 教授 (40145264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
程 [クン] 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40207460)
丸山 智 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30397161)
依田 浩子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (60293213)
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Keywords | 口腔癌細胞 / 浸潤 / 間質誘導 / スイッチング / 細胞外基質 / 細胞外基質分泌障害 / レーザチャプチャー / RT-PCR |
Research Abstract |
前年度までの実験項をさらに繰り返し、発展させて細胞外基質(ECM) 産生の病的沈着と、ECM産生を活性化させる因子を特定するために以下の実験をおこなった。 (1)各種口腔腫瘍性病変におけるECM発現状況:ヒト舌扁平上皮癌、上皮内癌、異型上皮歯原性腫瘍の角化嚢胞性歯原性腫瘍および石灰化歯原性上皮腫について、免疫組織化学的にパールカンおよびテネイシン、ファイブロネクチン等のECMの発現様式を比較検討した。その結果、上皮内癌を中心として、増殖性の高い病変で、上皮内ECM沈着の亢進することを確認できた。上皮内沈着は、上皮細胞間隙とともに細胞質内にもみいだされ、とくに石灰化歯原性上皮腫では、幻影細胞化とECM細胞質内沈着との対応があった。したがって、ECMが細胞外に分泌することが障害されて幻影細胞化する可能性が示唆された。 (2)ECM発現調節因子:異型上皮ならびに上皮内癌では、二層性の病理組織像を呈する病変の下半層は増殖帯を形成しているという仮説をもとに、下半層に高発現する分子を渉猟した。その結果、血管内皮増殖因子VEGF、ソニックヘッジホッグSHH、MMP7,線維芽細胞増殖因子2/7bFGF・KGF等の上昇が確認された。下半層をマイクロディセクション法によって切り出し、RNAを抽出してRT-PCRを行った。その結果、下半層では、Eカドヘリンの発現が低減し、インテグリンβ1が上昇しており、上皮層内においてもECM発現と増殖性に協調性があることが確認された。 以上の結果から、間質誘導は実質細胞の増殖回転亢進と関連があり、ECMとその受容体の発現状況から具体的にとらえることがてきることことが判明した。いっぽう、ECM分泌障害が実質細胞の形態学的特徴に影響しているという新たな発見があったので、今後は、分泌抑制の分子機構の検討という方向に研究を展開していく展望がえられた。
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